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30 デートの続きを
デートプランって考えるのが難しい。せっかくの芳とのデートだったというのに、コラボカフェでお腹いっぱいにしたせいでディナーは入らなかったし、外デートは楽しいけれどキスをする隙もない。
そう言えば世の男女が道端でキスするシーンなんて、ドラマでしか観たことがない。みんなどうやってキスしてるんだろう。
芳とキスしたいと思っているまま、結局は寮に帰ってきてしまった。もしかしたら、デートの時は外泊申請を出していかないと、色々あれこれ出来ないのではないだろうか。ひょっとしたら行き先を『実家』とか書いている奴らは、みんなデートだったりしたんだろうか。
寮の入り口で、おれは芳を見上げた。今日は土曜日なので、明日は日曜日だ。このまま互いに部屋に帰って寝るなんて、健全なデートで終わっていいはずがない。
「あのっ、提案があるんだけど」
「ん? なに?」
「……このまま、おれの部屋で、デートの続きしない……?」
おれの提案に、芳は目を瞬かせ、それからニッと笑った。
「じゃあ、俺からも提案なんだけど」
「っと、何かな?」
ドキドキと、心臓が鳴る。芳の表情は色気があって、誘っているみたいだった。
「明日の朝まで、一緒に居たいって言ったら?」
「っ、ん。も、もちろん、良いよ……」
頬が熱い。なんなら、朝と言わずに一緒でも良いくらいだ。
「じゃ」
そう言って、促される。繋いでいた手はとっくにほどいてしまっていたが、少しも寂しくなかった。
◆ ◆ ◆
部屋の扉を閉めると同時に、芳に抱き締められて唇を塞がれた。もしかしたら芳も、キスしたいと思ってくれていたのだろうか。そう思ったら嬉しくて、腕を背中に回し舌を伸ばす。今日一日、すぐ手の届く場所に居たのに触れられなかった時間を埋めるように、舌を吸って唇を貪った。
「んぁ、ん……」
明かりも点けないままキスをしながら、ずりずりと部屋を移動する。芳はいつの間にか棚の上におれの戦利品を置くと、腰に腕を回した。息継ぎしながら何度も角度を変えてキスを重ね、気づけばベッドのすぐ傍に来ていた。芳がおれを横たえるのに抵抗せず、芳の首を引いてベッドへ誘う。
「ぁ、芳……」
耳元に、ハァと荒い呼気が響いた。どっちの声だったんだろうか。どちらとも身体が熱くて、息が乱れている。
「悠成」
小さく名前を呼んで、芳は唇を離した。ドクドクと、心臓が鳴る。
芳は一度息を吸って、着ていた服を脱いだ。薄暗い室内に、僅かに芳の肌が見える。おれも無言で服を脱いだ。
二人とも裸になると、無言で再び唇を重ねた。もうどうすれば良いのか、何をすれば良いのかなんて解っていて、暗黙の了解のように肌をぴたりと合わせる。触れ合う皮膚の感触が気持ちよくて、芳の脚に足を絡めた。芳が少しだけ顔を赤くする。
芳の手が腰を撫でる。心地よくて、快感を刺激する感触にビクッと身体を跳ねらせた。
「……ハァ、っダメだ。ガマン出来ねえ」
「ん、芳?」
芳は身体を離すと、グイと膝を割り開く。急に足を開かれ、驚いてカァと顔が熱くなった。
「早く挿れてぇ……。ダメ?」
「っ、もう……。良いよ……」
欲しがられて嫌な気もせず、されるがままに受け入れる。芳は自分の指を唾液で濡らし、アナルに押し当てる。何度も芳の味を覚えているせいか、すんなり指を受け入れる。中をぐにぐにと弄られている間、息が上がってどうしようもなく興奮した。
他の部分を触れられていないせいで、変に理性が残っているからだろうか。
指を引き抜き、芳の性器が穴に押し当てられる。まだ少し蕾は固かったが、ぐぐっと押し込めるように挿入され、ゆっくりと穴に沈めていく。ず、ずっ、とゆっくり開かれるのは、妙に生々しくて、気恥ずかしかった。
「あ……あっ……」
「キツ……、痛くないか? 悠成」
「ん、大丈夫……っ……」
みちみちと肉輪を押し広げ、やがて奥まで貫かれた。中でドクドク脈打つ芳に、ゾクゾクと背筋が粟立つ。ここに、入ってるんだと、腹を指先で撫でた。
「……エロい、顔」
芳は舌なめずりするように唇を舐め、ゆっくり腰を動かし始めた。鈍い滑りに、身体を揺するように刺激され、「あっ、あっ」と短く声を上げる。やがて先走りの粘液と腸液が混ざり、じゅぷじゅぷと音を立て始めると、芳は動きを早くした。
「あっ! あ! っん!」
ずっ、ずっと、内部を擦られ、甘い声を上げる。舌から突き上げられる快感に、喘ぎと共に唾液が口から零れ落ちた。
「悠成……。悠成……っ」
「あ、あっ! よしっ……、芳っ……」
互いに名前を呼び、ぎゅっと抱き合う。汗と体液が混ざり合い、二人ともドロドロに蕩けてしまいそうだ。
おれたちは何度も何度も名前を呼んで、何度も何度も繋がり合った。
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