12 / 113

つまらない 5

その心の内を声に出すと、『そうか、そうか』と一見同情しているかのような言い方をした。 『眞ノ助は自分で自分をつまらなくさせているな。そんな考えでいると、いつまで経っても面白くないままだ』 『だって……面白いと思ったことがないんだもん』 『ふむ……』 すると、祖父は組んでいた腕を組み直した後、こう言った。 『まだ眞ノ助は、狭い視野でしか物事を見てないんだ。もう少し、そうだな、あの空を見るように、遠くを見てごらんなさい。そしたらきっと、私のようにひとつのものを好きでいられるかもしれん』 『ひとつ、のもの……』 祖父が言う「ひとつのもの」と言うと、前に会った艶やかな人のこと。 『こん……前に会った女の人に、今度はいつ会える?』 『……っ、まだ、体調が優れないようでね。治るまでしばらく掛かりそうだ』 『ふぅん……』 頭を撫でられた。 普段は素直に喜ぶところだったが、今は『金平糖の君』に会いたいという頭しかなく、まだ会えないんだと気持ちが沈んでいった。 いつになったら、会えるんだろう。 「こん、ぺ……い、と……」 薄らと目を開けた。 今思えば、あれは祖父の嘘だったのだ。本当はいつでも会いに行けたはず。だけど、『金平糖の君』は、祖父だけの『大事なひと』で、容易に会わせたくなかったのだろう。 だったら、元から孫の自分に会わせなければ良かったのに。 そうすれば今頃、こっちだってここまで想わない。 「──起きられましたか」 なかなか開かない目を瞬かせてから少しした後、覚めた目線の先に、美しい顔が微笑んでいた。 『金平糖の君』……いや、あの側仕えだ。 その側仕えが眞ノ助のことを見下ろしていた。 「入浴の時間になりましたので、呼びに来たのですが、何度も声を掛けても返事がなかったもので、勝手ながら部屋に入ったのですが……」 そう説明する側仕えに、いつの間にか眠っていたことを気づかされ、次に頭のそこそこ固い感触が何なのかと分かった瞬間、バッと飛び起きた。 「な、なんて、真似を……っ」 「申し訳ありません。しかし、僭越ながら坊っちゃま。このような部屋に寝そべるのはどうかと思いまして。失礼ながら、私の膝に頭を乗せておきました」 「……~~っ!」 側仕えの分際で、と言おうとしたが、図星され、言い返す言葉がなくなってしまった眞ノ助は、怒りで爆発しそうになっていた。

ともだちにシェアしよう!