20 / 113

·····

──それは、激しい憎悪だった。 あのようなことがなければ、自分はこのような卑しい身分に堕とされなかったのだから。 憎たらしい。 久しく忘れていた感情が、再び芽生えてしまったのは、そうなった根源を目にしてしまったから。 過去の栄光とも言えた名前を捨てた際に、その感情さえも共に葬ったと思っていたのに。 「──柘榴」 余裕のある笑みを見せつけて、 新 ()しい名 ()を呼んできたのであった。

ともだちにシェアしよう!