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掃除をしましょう 7

なんだったのか、あれは。 昼食を摂り終え、自身の部屋でひと息をついていた時、昼食前の側仕えの発言が、不意に思い出される。 自分から訊いておいて、適当な言い草。昼食後、再び訊いてみても、さらりと話題をすり替える。 意味が分からない。 ごろん、と仰向けになって天井を見つめていると、「坊っちゃま、いらっしゃいますか」と透き通るような耳心地の良い声が聞こえた。 「なんだ」 「昼食を摂って、ひと息をつきたいのは山々でしょうが、お片付けの続きをしましょう」 障子越しに見える、正座をしている様子の側仕えを一瞥した。 そして、少しの間考えた後、こう答えた。 「さっきの、お前が言った言葉の意味を教えてくれたら、続きをやってやる」 「坊っちゃまは眠たいようですね。お休みになられてはいかが?」 「眠いが、そうじゃないだろう! 何故、いちいち話を逸らすんだ。訊いてきたのはお前だろう。ちゃんとした答えを僕に言え!」 怒りの勢いで体を起こし、変わらぬ姿勢のままでいる側仕えに向かって、声を荒らげた。 全くもって腹立たしい。腹を立てている自分のことさえも腹が立ってきた。 はぁ、と深いため息を吐き、熱く滾る体の内を冷まそうとしていた。 その間でも、こちらを見つめている様子の側仕えは、一言も発さず、微動だにしない。 話を訊いていたのか、と口にしようとするが前に、先に言った。 「……強いて言うのでしたら、無意味にそのような歳になってしまった、と」 「それは、どういう意味なんだ」 答えが答えになっていなく、また訊き返したものの、これで話が終わりだと言わんばかりに、「お休みくださいませ」と言って立ち上がり、去ろうとするのを、「おいっ」と慌てて後を追おうと障子を開けたが、側仕えの姿はどこにもなかった。

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