いつまで経っても体を揺さぶり続ける側仕えに仕方なしに、というよりも、きちんと食事の時間に顔を出さないと、特に父に言われてしまうため、起き上がり、食事を摂り、風呂を済ませ、寝る準備をしていた頃。 「さ、坊っちゃま。布団が敷けました」 「ああ」 明日の学校の準備をしている眞ノ助に声を掛けた側仕えは、「では、私はこれで」と一礼し、去ろうとしたところを引き止める。 「どうされました？」 「あ……」 自分でも何故、側仕えを引き止めたのかは分からない。 口ごもり、次の言葉が思いつかないでいると、「少々お待ちくださいませ」と部屋を出ていく。 少しした後、戻ってきた側仕えが何かを手にしていた。 それはあの超合金のロボットだった。 「どうして、それを」 「坊っちゃまが眠れないのかと思いまして。私に、このことに関してのお話をしてくださればと」 「大したことも、そもそも僕は元々興味がなかったものだ。お前の方が興味があっただろう。くれてやる」 布団に潜り込み、無理やりでも寝ようとする眞ノ助に、「いえ」と声が聞こえた。 「私が聞きたいのは、これを買ってくださったおじい様とのお話です」 肩をぴくりと震わせる。 そして、側仕えの方へ顔を向けた。 「僕、祖父に買ってもらったと言ったか？」 熊のぬいぐるみのこともそうだ。当たり前のように祖父に買ってもらったのだろうと言う側仕えに、あの時の言葉を思い出しながら、疑問を口にした。 すると、側仕えは眞ノ助の視線から手元に持っていたロボットに視線を映す。 数秒の沈黙の後、愛想笑いを浮かべた側仕えと目が合う。 「清志郎様のご葬儀の時に言いましたが、あの方とはちょっとした知り合いだったのです。その際に、お孫さまのお話をされていまして。だから、そうなのだと思いました」 「あ、そう……」 「ええ」 少しばかり顔が熱くなったように思え、やや下半分ほど顔を布団で隠す。 あれは痴呆症で、成長していくにつれて、段々と若い頃の父に似てきたと言われたことがあったものだから、それで間違えてあのような発言をしたのだろう。 この側仕えについ言ってしまうほど、孫のことが可愛くて仕方なかったようだ。