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掃除をしましょう 12
「ようやく、大切な人のために泣く姿が見られました。ご葬儀の時は、立場などで泣く機会がなかったのかと見受けられます。ですから私、ずっと心配していたのです。そういったことも含めて、季節を楽しむ余裕がなかったのかと」
「……う、…っ、ふっ……」
違う。
何もかも見透かされたようで、それが何だか気に食わなくて、否定的な言葉を口にしてしまいたくなったが、しゃくり声で上手く言葉にならなかった。
優しく撫でてくれたのは、祖父だけだった。
両親は、自分のことなんか眼中にないようで、目を見て話したことも覚えている限りはない。
だから、この先もそうやって撫でてくれる人なんていないだろうと思っていた。
祖父以外に撫でてくれた人が、『金平糖の君』によく似た側仕えだということが、心がじんわりと暖かく感じるくらい嬉しく思っているようだ。
けれども、それを悟られたくなくて、声を上げ、泣き続けるのであった。
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