35 / 113

掃除をしましょう 15

この者に対しても、側仕えと同じくらい意味が分からないなと思いつつも、「鬱陶しいから、どっかに行ってくれ」と突っぱねようとした時だ。 「あ、佐ノ内君。顔赤くない? もしかして、熱があるの?」 そう言って、額を触ろうとしてこちらに手を差し伸べてくる。 ──ああ、良かったです。目元が目立つぐらい腫れていなくて。 微笑み、目元を触れてきた側仕えの姿が重なる。 「触るなっ!」 バシッ。 手を思いきり叩いた。 「……あっ」 触れた箇所が、あとからじんと痛み出した時、どちらが発した分からない声が上がる。 拍子に相手の顔を盗み見た時、ハッとする。 皺ができるほど眉を寄せ、傷ついた顔をしていた。 自分からしてきたクセに、どうしてそんな表情をするのか。 「………」 苛立ちが募っていた眞ノ助であったが、あれほど騒がしかった教室内の急な静まりように、そして、一斉に視線が自分らに注がれていたことに気づく。 その視線に、あの顔を振り切るように立ち上がり、教室から飛び出していった。 その時に、あの特待生が、廊下ですれ違った担任が何か言っていたが、眞ノ助の耳には一切届かなかった。

ともだちにシェアしよう!