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夏の風物詩と。19 ※自慰
「……まあ、別に使っても構わない。それよりもさっきの曲、よく知っていたな。祖父の若い頃の曲だそうだが、それも、孫のように可愛がっていた特権で?」
「…………そのようなところですね」
何故か、再び蓄音機の方へ向いて返事をした。
その様子が、今の自身の表情を見せたくないと思っているように見えた。
ここ数ヶ月の側仕えを見ていると、それが安易に分かる。
単に祖父との思い出に浸っているかもしれないが。
「ところで、坊っちゃま。伊東様と一緒に幽霊屋敷に行かれたのでしょう。どうでした?」
またこちらに振り向いた時には、変わらぬ微笑みを見せてきて、そう訊ねてくる。
その表情にドキリとしつつも、平静さを装い、いつものぶきゃらぼうな言い方をする。
「散々なものだったな。いつ廃墟になったが知らないが、どこに建物があるのか分からないぐらい生い茂っていてな、そんなところを掻き分けて行ったものの、中では女の人の声が──」
はた、と口を噤んだ。
自分のことを『旦那様』と呼び、興奮している棒を口で慰めていた、『金平糖の君』と酷似した女性──。
「坊っちゃま? どうされたのです、急に言葉を……それに、顔も急に赤くなられて……」
戸惑いの声を上げる側仕えにハッとし、そして目が合ってしまった。
美味しそうに貪る女性の姿を重ねてしまう。
射精 し切ったと思っていた精を再び放とうと、大きくなり始めていた。
「坊っちゃま?」
「な、なんでもないっ! 夕飯の時間になったら、僕の部屋に来い!」
「は、はぁ……」
困惑しきっている側仕えから逃れるように一目散に駆け出し、自室の障子を閉めた途端、その場に座り込み、ズボンを脱ぎ、自身を寛げさせた。
下着には先走った染みがあり、カッと熱くなる。
シャツを口に咥え、淫茎を乱雑に掴むと、頭部分を親指ででたらめに触り始める。
「ふ、ふぅ……っ、ん」
──大きくて、立派……。
舌先を這わせ、その度に生暖かい息がかかったことを思い出され、手の中の茎が自身の手で慰めていることもあり、さらに大きくなるのを直に感じる。
「ふっ、ふぅ、ふっ……」
今すぐにでも止めたい。けれど、一回抜かないと窮屈なままだ。だが、このまま慰め続けていると、後悔してしまいそうだ。
しかし、人の本能は抗えないと誰かに操られているかのように扱く手が止まらない。
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