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柘榴 16 ※モブ複数×寂柳

ふと、目を開ける。 ほぼ薄暗い部屋の中、掛け時計を見やる。 一時半。 まだ真夜中かと、うとうとしかけるものの、いつもならば不快に思う下着が何ともないことに気づき、再び目を開けることになった。 そういえば、あの夢を見ていない。 思わず漏れ出た安堵の息を吐いて、次に廊下に落ちていたはずの柘榴のことを思い出す。 あれも寝不足からの夢か現実かはっきりとしなかった幻だったのではと思い、今のいつもよりかは寝て冴えている頭で見に行き、それから寝ようと思い至り、部屋から出て行った。 一歩、廊下に足を踏み入れようとした時、指先にコツン、と固い感触がし、ゾッとした。が、指先を見やった途端、ふぅと息を吐いた。 それは、例の柘榴だった。 手に取って、これは現実だと思い知り、しかし何故、落ちているのか、場所が移動しているのか、それらの疑問が残った。 それを持ったまま、廊下の突き当たり付近に歩を進める。 二度目起きた時は、ここに落ちていて、その時にコレが柘榴だと分かった。 そのまま左を向いて直進し、とある部屋の前で立ち止まる。 最初に見たのはこの部屋の前。 昔、柘榴の匂いがしたことがあった祖父の部屋の前。 あの側仕えは、祖父と関係が全くないわけがなかった。だから、この部屋に何か関係があるのかと思えてくる。 側仕えが部屋整理していたこと以外に、祖父が痴呆症になった以降、足を踏み入れることがなかった部屋。 障子に手をかける。 心臓が速く脈打っている。 こんなことで緊張している自分に鼻で嗤いながら、障子を開こうとした。──が。 「……ん、旦那様の、摩羅……美味しい……」 ぴくり、と手が止まった。 甘ったるく、人を惑わすような声。 それは、あの幽霊屋敷で、夢でも散々聞いた声と全く一緒で。 それを現実で聞いてしまうとは。 じんわりと熱が帯び始める。が、複数人の怒声にも似た声で、我に返り、そして、耳を疑った。 この部屋の中で一体何をしているんだ。 そっと、障子を薄く開けて、片目で中を見渡す。 心もとない行灯の明かりの中、四つん這いの女性らしき人を中心に、男らしき人が数人、取り囲むようにして、下品な言葉を浴びかせ、乱暴していた。 ある者は、その女性を下半身辺りに跨がせ、ある者は、髪を引っ張り、下半身を顔に近づけた上に頬張らせ、他二人は、頬張らせている男と同様のモノを両手に持たせ、乱れた声を漏らしていた。

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