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『金平糖の君へ』12 ※寂柳×眞ノ助

あの時は、大きな後悔に押しつぶされて素直にそうとは言えなかったが。 「気持ちいい、ですか……っ」 「きも、ち……い……っ」 「そうですよね……、突く度に、坊っちゃまの、精液が出ている……のですから……っ、……もっと、突いて差し上げます」 「ふっ、ん〜〜〜〜っ!」 緩く振っていたのが、段々と激しめになっていく。 その時、達したようだったが、寂柳の動きは止まらない。 「あ、あっ、はっ、あっ! イッ、たぁ! じゃく……っ! イッた、からっ、 は、ァ……っ!」 腰が大きく仰け反り、寂柳の腹にめがけて、二度目の射精をした。 ぎゅうっと、足の指に力が入り、天を仰ぐ。 ビクビクと身体が痙攣をしていた。 射精()し切った途端、ぐったりと床に身を預けた。 あの時も何度も射精()されたが、挿入()れられる側はまた違う快楽を得られるのか。 腹を大きく上下に動かして、そんなことをぼんやりと思っていた。 しかし、自身のナカにもっと奥にまで熱が出されていたはずと思った時、バッと寂柳の方を見た。 「坊っちゃま、受け入れてくださりありがとうございます」 「待った!」 抜こうとする寂柳の動きが止まり、「どうされたのです?」と小首を傾げた。 「お前……射精()していないんじゃないのか。……僕に気を遣っているのか?」 恥ずかしいやら寂柳が満足しなかったのかと不安に思った、そんな言い淀む口調で訊いてみると、寂柳は首を横に振った。 「坊っちゃまに気を遣った、そういう解釈もありますが……私のは、もうとっくに男としての機能は、終わっているのです」 「……!」 衝撃が走った。それじゃあ、つまり。 「……本当は、坊っちゃまはお優しい方だったのですね。いいのですよ、私は女としても役に立ちませんでしたし、それに、私の種を残したいとは思いませんし」 「だが……っ!」 思わず、起き上がろうとした。しかし、繋がっている部分の快感と電流が走ったかのような腰の痛みが感じ、再び地に伏せる形になってしまった。 「坊っちゃま、無理をなさってはなりませんよ」 「無理をしているのはお前だろ!」 空気がピリつくほどの怒鳴り声。 「そんな今にも泣きそうな顔をして、人のことを気を遣っている場合か! お前はもっと……、もっと自分のことを大事にしてくれ……っ!」

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