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第7話
自宅に着き、不意に、真向かいの家を見上げた。
三階立ての俺の実家の真向かい、確かに最近まで、平屋の一軒家だったが、入口付近に花々のプランターが置かれた二階建てに変わっている....。
表札も「神崎」の文字...
「....いつの間に越して来てたんだ?」
二つ隣が幼馴染の圭の実家だ。
「おばさんに挨拶して帰るよ、順平」
「ああ」
圭の申し出に頷いた。
「僕達も順平くんのお母様にご挨拶しないとだね、三琴」
「だね、真琴」
圭がこれでもか、と二人を真顔ながら、なかなかな鋭い眼差しで見つめている。
「あ、でも、手土産が無い」
「手土産が無いのなら、また今度にしたら?というか、一生、来なくてもいいよ」
「さすがに圭、言い過ぎじゃないか?真向かいに住んでるんだし、ここは穏便に....」
人が変わったかのように今日の圭が怖い...。
「手土産なんていいから、上がったら?ほら、圭も」
どうにか、圭の怒りを抑え、双子共々、玄関へと入った。
「おかえりなさい、順平、あら、圭くん。相変わらず、美人ね」
「ありがとうございます、おばさん」
「あら?」
母さんの視線が俺の背後に移る。
「まあ、双子ちゃん!?なんて可愛らしいのかしら、お名前は?」
途端、圭に手の甲を抓られ、飛び上がりそうになったが堪えた。
「神崎です、あ、正面に越してきた....」
「手土産も無くて、すみません。近々、手土産を持ってきますね、お母様」
再び、圭に抓られ、痛みに目を見開いた。
「...なに、お母様呼び」
「知らねーよ、俺は」
圭とこそこそ。
「さ、圭くんも双子ちゃんも上がってちょうだい」
「「お邪魔します」」
真琴と三琴は頭を下げると靴を脱ぎ、同時にしゃがみ、靴を揃えた。
「....お邪魔します」
圭も二人に次いで、靴を脱ぎ、揃えている。
「平井さん、ケーキがあったでしょう?双子ちゃんはお名前はなんて言うのかしら?」
母の目が双子が珍しいのかキラキラ輝いている。
「兄の真琴です」
「弟の三琴です」
「まあ!声まで同じなのね!なんて愛らしいのかしら!」
「珍しい、じゃなくて?母さん」
「珍しいなんて失礼でしょう!順平。ほら、真琴ちゃん、三琴ちゃん、好きなケーキを選んでね、圭くんも」
双子の後回しにされた挙句、双子は「ちゃん」呼ばわり、圭は「くん」だからか、圭が不機嫌なのが、幼馴染の俺には見て取れる。
すっかり母さんまでもが双子の真琴、三琴に心を奪われた。
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