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第9話
「順平もいいところがあるじゃないの。良かったら、夕飯、食べて行って?あ、親御さんに話してもらってからがいいかしら」
「ありがとうございます、お母様」
圭のお母様呼び、に面食らう。
真琴と三琴は顔を見合わせ、何やら会議中。
「どうしたの?真琴ちゃん、三琴ちゃん」
くるり、二人は同時に母さんを見たが、真琴が切り出した。
「あ、いえ、僕達の両親、海外にいるんで、連絡した方がいいかな、て話しで...」
「海外?」
「うん。パパが海外に出張になって、心配だから、てお父様も着いて行ったから...」
「ああ、お前らのお父様とやら、オメガ、て言ってたもんな。アルファのパパが浮気しないか心配、て事か」
「「うん。その通り!」」
二人同時に微笑んだ。
「あら、じゃ、ご両親、ご不在?」
「はい。ですが、僕達の教育係もいますし、家政婦もいますし、正確には二人きり、て訳ではないです」
「でも、せっかくだから、御一緒してもよろしいでしょうか?」
「ええ、もちろん。圭くんもお腹いっぱい食べていってね」
「....はい」
....圭が双子に気圧されている。
珍しく意気消沈な圭...、いつも通りに、俺にまとわりつく双子を追い払うことは出来るんだろうか....。
不安だ。
「....しかし、両親がいない、てお前らも不安じゃないのか?」
「パパ、海外出張が多いし、慣れてる」
三琴がにっこり微笑んだ。
「お父様とパパが不在が多いお陰で、僕達も少しだけど、料理も出来るようになったし、悪いことばかりじゃないんだよ」
俺を見上げ、少々、早口になってる真琴。
「お土産も楽しみだしね」
三琴は真琴を見つめ、にっこり。
「うんうん!」
「本当に仲がいいのね、真琴ちゃん、三琴ちゃん。見ている私が微笑ましくなっちゃう!」
この日、家政婦に任せず、珍しく母さんが手料理を振る舞った。
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