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第11話

三人が帰った後は優雅に風呂を楽しみ、暫く、テレビや音楽鑑賞し、デスクで復習。 と、不意に電話が鳴った。 見ると、先程、別れた、圭。 「圭か。どうした?」 「...あのね、順平の家で話し聞いてて、引っかかってて、ふと、気がついたんだけど...」 「うん」 「あの双子ね、鶴じゃないかと思うの」 「...鶴!?」 神妙にコソコソと話す圭に釣られ、思わず、俺もスマホをもう片手で押さえ、声も抑える。 「うん...あの双子、やたら、順平に感謝していたじゃない?」 「...確かに」 「鶴の恩返し、て知ってる...?」 「そりゃ...助けられた鶴が恩返しの為に、自分の羽毛を使って布を織る話しだったよな...。確か、見ないでください、て言ったのに、見られたもんだから、鶴だとバレて、空へと帰る....」 「そう...鶴の恩返し」 俺は驚愕した。 「...なるほどな。俺が助けたから、双子は...自分を犠牲にして、何かして、俺に見られたから、空に帰る!?」 「きっと、そうなんじゃないか、とさっきから考えてて...だって、いきなり、順平の前に現れて、いつも一緒にいようとするし、家まで真向かいだよ?」 「....有り得る...のか?」 「でも、似てない?」 「まあ、似てるっちゃ似てる...空に帰る、て、死ぬの!?」 「さあ、月に帰るんじゃなかったっけ?」 「それ、別の物語じゃね?」 「あれ?」 「どした?」 「....亀だっけ?」 電話の向こうで訝しげな声。圭が小首を傾げてるのが見て取れる。 「それ、竜宮城じゃね?」 「あれも助けられた亀だったような...」 「確かに」 「竜宮城に行くのはいいけど、玉手箱は貰っても、開けちゃ駄目だよ、順平。お爺ちゃんになっちゃう」 「わかってるよ」 そうして、圭の悩みはスッキリした様だが....俺はモヤモヤしたまんまだ。 「鶴....いや、亀か、いや、鶴....?」 左右に何度も首を傾げ続けた。

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