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第12話
「「おはようございまーす」」
自宅前から真琴、三琴の溌剌とした声。
先に来ていた圭と顔を見合わせ、頷いた。
「あっ!順平くん、おはよう!圭くんも来てたんだ!?」
真琴が明るく挨拶して来た。
「おはよう!順平くん、圭くん!」
三琴もまた元気な笑顔。
「おはよう、真琴に三琴」
「おはよう、鶴...いや、双子」
「...?それは?」
真琴と三琴は互いの片手で何やら風呂敷包みの大きな箱のような物を持っている。
「あっ、これ?これね」
「あっ、三琴、まだ言っちゃダメ!」
俺と圭は互いに眉間に皺を寄せて顔を見合わせた。
「...亀かも」
「いや、まだ鶴の可能性も否定出来ない」
圭とヒソヒソ。
「どうしたの?順平くん、圭くん」
「学校行こっ、順平くん、圭くん」
「「うん....」」
俺と圭とは、
「...空に帰るのか」
「月に帰るのは竹取物語だった」
ふと、真琴と三琴が顔を見合わせ、笑顔で会話している、その会話の一部が耳に入った。
「楽しみだねー、真琴」
「だねー、喜んでくれたらいいね、三琴」
...鶴か亀、確定か。
授業中、相変わらず、右の真琴、左の三琴が机をくっ付け、ついでに俺にもくっ付き、三人で俺の教科書を見る。
不思議と怒りが湧かなかった。
空に帰る二人を思えば...。
そして、昼休み、圭も一緒に真琴、三琴、四人で昼食。
「「じゃーーーん!!!」」
ドン!と俺よりの真ん中にあのデカい風呂敷包みが置かれた。
「...駄目だよ、順平」
「だが、しかし...」
「どうしたの?順平くん、圭くん」
左にいる三琴が不思議そうに丸い目で見上げる。
「二人で頑張って作ったんだー!」
真琴の声と共に風呂敷包みが開けられ、お重が開けられた。
ま、眩しい....。
「少し、家政婦の実田さんに手伝って貰っちゃったんだけどね」
てへ、と笑う、真琴と三琴の指には絆創膏。
中を見ると...かなり豪華な弁当だった。
「花見?」
圭が弁当を覗き、呟いた。
「どう?頑張ったでしょ!」
と、三琴が照れ笑い、
「僕達の分も合わせて四人分!」
と、真琴が笑う。
「俺も圭も弁当、持って来てるんだが...頂くとするか、圭」
「うん....」
圭の勘違いに乗せられ、俺も気の抜けた声になった。
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