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第18話

「まだお前ら、教科書無いのか?」 相変わらず、机をくっつけ、順平の教科書を見る、真琴と三琴に眉を寄せる。 「「ううん。あるけど」」 二人はそれぞれ、教科書を見せつけた。 「や、だったら自分の教科書を見ろよ!」 しばらく、放心したかのように丸い目で順平を見つめていた二人だが... 「順平くんの教科書の方が見やすいし」 右の真琴がにっこり微笑み、 「集中出来るし。ね?真琴」 「だね、三琴」 そして互いに教科書をしまい、両側に真琴、三琴がベッタリ体を張り付かせて、順平の教科書を覗く。 集中出来ないのはこっちだし、全く同じ教科書だろ!とツッコミ入れたい所だが、二人には効果が無いだろう...。 暑苦しいが、我慢しよ...。 そして、待ちに待った、休み時間。 ようやく、真琴と三琴が離れて楽ちんになり、ほっとする。 「順平ー!」 圭が血相を変えてやって来た。 「どうした?圭」 「...別に」 圭はもやもやしていた。 今まで通りにいかないからだ。 今までなら、順平に言い寄るオメガは、 「僕のフィアンセなんだから!」 と、嘯き、近寄らせる事すら許さなかった。 全てはいずれ、自分の嘘を本当にする為。 順平とラブラブな高校生活を送りたいのは山々だが、何しろ、順平は恋愛に全く興味が無い。 恋愛なぞ卒業してからで充分、という順平に合わせ、卒業したらラブラブになる為に、順平に合わせて来た。 理解者と思わせ、順平に一目を置かれた。 が、真琴と三琴が現れてからというもの、調子が狂っている。 真琴、三琴は別に順平に、好きだの、付き合いたい、とは言わずに、ただただ、ベッタリなだけ。 本当に順平に助けられた恩返しの為に現れた、鶴か亀か?と思わせられる...。

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