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ふたりの初恋 8
「へぇ、やっぱり青山くんは学生時代にサッカー部の主将をしていたのか。君はリーダーシップを取れそうな雰囲気だから、イメージとぴったりだな」
「あっ、ありがとうございます」
想の上司との会食は、些か緊張した。
「うちの白石想は優男のようだが、ああ見えてもズバ抜けた企画力があるんだ。どうぞよろしく頼むよ」
「はい! 彼と一緒に仕事が出来て嬉しいです」
「ははっ、それは良かった」
想を褒められるのは、自分のことのように嬉しかった。
「まだ時間があるな。珈琲でも飲んでいくか」
「あ、俺……報告があるので、一度部署に戻ります」
「了解。また午後のミーティングで会おう!」
「はい! 引き続きよろしくお願いします」
想の上司に一礼し、自分の部署に戻って一呼吸。
浮ついたところ、見せなかったよな。
今の想はawayでネクタイをビシッと締めて頑張っている。
だから俺も揺らぐことなく、仕事に徹したい。
想のひたむきさがずっと好きだった。
離れていた10年間で、更に磨かれたんだ。
外国で努力して身につけた想の企画力は抜群だ!
俺も頑張ろう!
伸びをしながら時計を見ると時間があったので、ふらりと屋上に行くと、先客がいた。
壁にもたれて青空を見上げている優しい色合いのスーツを着た男性は……
「想!」
「えっ、駿?」
「どうしてここを?」
「あ、ランチをした人が教えてくれたんだ。絶好の休憩場所があるって」
それは俺が伝授したんだ。後輩よ、サンキュ!
「そうだ、駿、コーヒーを飲む? って、僕のだけど」
想がはにかんだような笑顔で、コンビニのロゴの入った珈琲を手渡してくれた。
想の笑顔の向こうに、懐かしい光景が見えた。
「……高校の頃はコーヒー牛乳だったな」
「覚えて……?」
「当たり前だよ。想はいつも俺に差し入れてくれた」
「それは……駿がいつも頑張っているから、何か応援したくて」
「俺も想を応援しているよ」
「ありがとう。感じているよ。さっきからずっと……それが嬉しくて、心強いんだ」
想は……思っていることを、こんなにはっきり言う性格だったか。
離れていた10年間の変化に戸惑うが……
「ごめん……なんか……僕……先走り過ぎかな?」
「いや、嬉しいよ。ちゃんとここに伝わってくる」
胸元をトンと叩くと、想が安堵の表情を浮かべてくれた。
「駿……僕は……もうすれ違いたくないんだ」
青空に溶け込むような想の優しい微笑みに、俺はまた恋をした!
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