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ラブ・コール 20

「あ……イクっ」 「くっ……」    僕は駿にギュッとしがみついて精を放ち、駿も同時に僕の中を濡らした。 「あぁ……っ……」 「想の中……熱いな」  そのままドサッとベッドに倒れ込んだ。  駿の重みを、ズシッと感じる。    素肌と素肌をぴたりと重ね合わせたまま、僕は目を閉じた。  駿の全てを感じたくて。  男と男の身体でも、こんなに深く強く愛し合える。  こんなに凸凹がしっくりくるんだね。  触れ合っている場所はしっとりと汗ばんでいたが、それすらも心地良い。 「想、無事か」 「うん、大丈夫だよ。もう僕らを隔てるものは何一つないんだね」 「あぁ……想と俺、とうとう一つになれたな」  駿が僕を掻き抱くように抱きしめてくれる。 「想から甘い匂いがする」 「……今とても幸せだから」  心も身体も満ち足りているからだよ、それはきっと。   耳を澄ますと微かに波の音が聞こえた。 「僕たち……海を泳いでいるみたいだったね」 「想の身体は、どこまでも優しい海だった」 「駿は……逞しくて力強くて、僕を大海原に連れ出してくれた」  日が一段と暮れていく。  ふと窓の外を見ると、『マジックアワー』という、空が魔法の色に染まる時間がやってきていた。 「想、空がすごく綺麗だぞ、見るか」 「うん」    駿が僕の身体をゆっくりと起こしてくれたが、全身が鉛のように重かった。  腰も痛いし、まだ駿のものがいるように後ろがじんじんとしていた。  時計を見ると、もう夜の7時近かった。  つまり3時にチェックインしてから、ずっと僕は駿に抱かれ続けていたということか。実に4時間も……!  急に気恥ずかしくなった。  だがそれだけの時間をかけて、僕の身体は作り替えられていったことに感動を覚えた。ゆっくり、じっくり、丁寧に……駿が僕の入り口を解してくれたので、あんなにすんなりと受け入れられたのだ。  駿の逞しい胸に身体を預けて、ふぅと一呼吸。  僕たちは、まだ何も身につけていない。  生まれたままの姿で寄り添っていた。 「想、マジックアワーはそれだけでも美しい風景だが、別の風景と交わることでさらに美しさが増すんだ」 「うん?」 「想の身体とマジックアワーが溶け合って、綺麗だ。想は……心も身体も美しいよ」 駿が僕の首筋にキスを落とし、逞しい腕を回してキュッと抱きしめてくれた。  そんな風にされたら……また抱き合いたい衝動に駆られてしまうよ。 「想の……可愛いな」 「え? どこ、見て……」 「ここ」 「も、もう!」  すっかり小さくなったものを指先で弄られて、赤面した。 「しゅ、駿!」 「はは、想、シャワーを浴びるか」 「あ……そうだね。一度……浴びてこようかな」  そのまま立とうとしたら、ガクッと膝が崩れて倒れそうになった。 「おっと! 想、大丈夫か。連れていってやる」 「あっ」  駿が僕を軽々と横抱きにしたので、明らかな体格差に赤面してしまう。 「……夢がまた一つ叶った」    駿が満足そうに微笑んでいたので、僕も悪い気はしなかった。  もう……肩肘を張るのはやめよう。  弱さも強さも、全て曝け出せる。  駿は、僕のすべてを知ったから。

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