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#2 綺麗な貴方

少し背伸びして訪れた、レトロでお洒落なカフェ。 ロイヤルミルクティーの注がれた、繊細な花柄のティーカップを持ち上げる手が美しい。 「(あおい)くんの手、とても綺麗だね」 「……そう?」 ひとくち啜ってからカップをソーサーに戻し、蒼くんは右手を開いて見せた。 「指が細いの、気にしてるんだよね」 「ホントだ。俺と比べたらほら、こんなに違う」 大きいと言われることが多い俺の手を横に並べたら一目瞭然。 蒼くんの手は小さくはないけれど、とにかく指が細くて骨張っていて、華奢で繊細なつくりをしている。 「創真(そうま)の手、大きいね」 蒼くんの両手が俺の右手を包み込むように持って、しげしげと眺められる。 伏し目がちすら絵になる美貌に、俺は見惚れてしまう。 (手だけじゃなくて……蒼くんは、本当に全部綺麗……) 幼い頃から知っているのに、蒼くんの整いすぎて無機質にさえ感じる美しい容貌は、未だに俺の心を新鮮に驚かせる。 「男らしい手だよね。俺、好きだよ。創真の手」 薄い唇が少しだけ持ち上がって笑みを形作る。 固い蕾がほんの少しだけ緩まって、花弁をわずかに覗かせるような微笑。 蒼くんが心を許した人の前だけで見せる表情に、俺は彼に恋しているという気持ちを再確認させられた。 ーーーーーーーーーー 創真×蒼 【大型ワンコ年下攻め】×【アンドロイドのような無機質美形受け】 雑誌編集者×グラフィックデザイナー 蒼の弟妹と創真が同年代で、蒼は少し年上の幼馴染。 少し疎遠になっていたけど会社で再会して、創真の片想いから、少しずつ距離を縮めていって……という妄想。

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