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第13話
実は昨日、撮影のあとに同じモデル事務所の金子先輩の誕生パーティーに参加した。なんでも金子先輩が気になってるモデルの女の子が俺のファンらしく、俺が来るならパーティーに参加するって言ったらしい。
(それって、むしろ俺は行っていいのか?)
と疑問に思ったけど、どーしてもと頭を下げられたので俺はダシになって参加した。
金子先輩は優しくて嫌いじゃないから。ちょっと女癖悪いのが玉にキズだけど。
モデルの女は可愛かったけど特に印象に残らない量産型だった。モデルっつーか、読モじゃねぇのかなって思った。途中二人で消えてたけど、金子先輩うまくいったのかな。
勿論未成年なので酒は飲んでない。そして家に帰ってからは課題をやってたから、寝たのは1時半くらいだ。
だから、今俺はすごく眠い。
「おい猫田ー授業開始5分で寝るなー、まだ一限目だぞー」
「はーい」
「そういえば先生、例の雑誌見たぞ!お前なんて破廉恥なカッコしてんだ」
「そーゆー特集なんですよ……つか一応恥ずかしいから大きな声で言わないでください」
「恥ずかしさで目が覚めただろ?」
「あんまり」
教室にどっと笑いが起きた。
俺は若者にはそこそこ有名なモデルだけど、素がこんなだからあんまり表立って女子に騒がれることはない。
RIONのキャラを日常でもすればこの上なくモテるんだろーけど(素でも普通にモテるけどな?)、めんどくさいからしない。
それに俺は、カメラを向けられないとRIONにはなれないし。
うつらうつらとした状態のまま午前の授業を終え、昼休みになった。ケータイが震えだしたので見てみると、マネージャーの斎藤さんからだった。
「はぁい。RIONだにゃー」
『うわいきなり可愛いんだけど、どしたの?』
「とにかく眠いんです。それとどしたの、はこっちのセリフですよ。今日は撮影入ってないですよね?」
『それがさぁ!なんか千歳(ちとせ)くんが風邪引いたらしくって代わりにRIONが来れないかって言われたんだよね。今日…ダメかな?』
おやおや、千歳くんのピンチか。
「久しぶりに部活参加しよーと思ってたけど…いいですよ、行きます」
『ホントに!?ありがとー!じゃあ授業終わったら迎え行くから!』
「はーい、だにゃん」
通話を切った。
千歳くんは一個年上だけど、同期のモデル仲間だ。俺とは全く違うタイプ(色黒細マッチョイケメン)で俺以上にバリバリ売り出し中の超人気モデル。色白で細い俺と対照的なせいか、コンビ撮影も多い。
千歳くん、風邪大丈夫かな?
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