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第14話

「何にゃん、とか可愛いこと言ってるんだ?」 よく知ってる声に振り向くと、そこにはやっぱり昂平がいた。 「盗み聞きしてんじゃねーよ」 「いや聞かれたくないなら堂々と教室で電話とかするな」  そう言って、俺の隣の席の椅子を借りて座り、俺の机で弁当を広げて食べだした。今朝のことは全然気にしてないらしい。ま、気にされてたら俺が困るけど、俺の憎まれ口は今に始まったことじゃないしな。 俺も弁当を広げて、昂平と向きあう形で食べ始めた。 「あ、昂平の海老フライうまそう、交換して」 「なにと?」 「唐揚げやるよ」 「しょうがないな、ほら」 「あーん」 口を開けたら、昂平が俺の口に海老フライを食べさせてくれた。尻尾は食べないから、噛みきって残した。 「なんか餌付してるみたいだ」 「あー千恵さんの海老フライうめぇー」  昂平とはクラスが違うけど、お昼は一緒に食べている。登下校(仕事が無い日)、部活、昼休み。すべて昂平と一緒に過ごしているが、別にどれも約束したわけじゃない。 けど、他人が見たら異様に思うかもしれない。仲が良すぎるって。  でも俺たちは別に仲が良すぎるってワケでもない。子どもの頃からずっと一緒にいるくせに、そこまでオープンな関係じゃない。下ネタとかしないし。おかしな話だけど。  異様というか、不思議には思っている。どうして昂平が俺と一緒に居てくれるのか。 昂平も思っているかもしれない。どうして俺がいつも一緒に居るのかって。 俺は昂平が好きだからなんだけど、 昂平は、どうしてだろう――

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