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第15話
「今日、仕事が入ったのか?」
声に反応して顔を上げると、昂平がじっと俺を見つめていた。話しかけてんだからそりゃ見るだろうけど。
でも俺は昂平に見られるとドキドキしてしまうから、つい目を泳がせてしまう。
「モデル仲間が風邪引いたから俺が代わりに出られないかって」
「そうか。なんの撮影だ?」
「千歳くんの着るはずだった服を俺が着こなせるわけねぇから、多分ファッション誌じゃあねぇな。また脱がされるんじゃねえの」
ははっと自虐ぎみに笑った。
「理音、お前さ」
「あ?」
「その、脱ぐ仕事とか断らないのか?」
珍しく昂平が仕事のことに口を挟んできたので、俺は目を瞬かせた。
「なんで?」
「いや、なんでって…お前はまだ高校生だろ。18禁的なやつとかダメなんじゃないのか?」
少し照れたような言い方に、思わずぶほっと吹き出してしまった。
「うわ、米粒飛ばすな馬鹿。汚い」
「わ、悪ぃ……くくっ。つーか内容はちょっとエッチだけど、別に俺が出てるのは18禁モノじゃねぇよ、ただの女性誌!今時少女マンガだってエロいだろーが。なんか女向けってそういうエロとかの規制が男より緩いんだよな、意味わかんねぇけど。それにメインは俺じゃなくて女性のモデルだし。俺はただの絡み役っつーか、相手役で呼ばれてるだけだから」
たまたまそんな撮影で人気が出て、似たような仕事が増えてるってだけだ。
セクシーだとかクールビューティーだとか色々言われてるけど、結局俺は少女漫画に出てくるような男のイメージなんだろうなって勝手に思ってる。
アイドルもそうだけど、やっぱり繊細な男っていつの時代でも一定の人気を保ってるもんな。まあ俺の場合、脱いだらけっこう筋肉付いてんだけど。
逆にそれがいいって言われてるけども。
「そうなのか?」
「そーだよ、それに俺は被写体だけで一切インタビューとかされてねぇだろうが」
「ま、確かに」
「昂平がいきなり18禁とか言い出すからびびったー」
まだ笑いがおさまらなくて、俺はくつくつ笑い続けた。
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