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第17話

*  いつものように理音と昼メシを食っていたら、いきなり理音の顔色が悪くなってぼーっとしだした。 「理音!!」  慌てて立ち上がり、椅子から転げ落ちそうになった理音の身体を支える。が、机を挟んだ向かいからの腕の力だけじゃ支えきれず、机と俺ごと理音は床に倒れ、突然の出来事に近くにいた女子数名は悲鳴をあげ、教室内は一時騒然となった。 「きゃーっっ!猫田くんが倒れたぁ!!」 「犬塚、大丈夫か!?」 「誰か先生呼んできて!」  俺はすぐに机を起こして理音に駆け寄り、その身体を横抱きにして抱き上げた。 理音はモデルなので身長はある。でもモデルだから、体重は軽い。 「理音を保健室に連れてく。悪いけど、片付けを頼む」 「わかった!先生に言っとくね!」  誰かは知らないが理音のクラスの女子にそう頼んだ。床には、俺と理音の食べきってない弁当の中身が派手に散乱している。 俺は急いで教室を出て、保健室へ向かった。 「うわ!?」 「犬塚誰だそれ……ってRIONじゃん!」 「えーRIONどったの!?」  校内で有名な理音は目立つ。なるべく顔を見せないように顔は俺の方に向けているが、やはりオーラは隠せないらしい。  それと、ただでさえデカイ俺がまあまあデカイ理音を横抱き…お姫様抱っこをしている姿は嫌でも目立つようだ。でも、そんなことを気にしてる場合じゃない。  確かに最近、理音はずっと顔色が悪かった。 でも蒼白いのは元々だし、朝練には参加して運動もできてたから、ここまで深刻だとは思わなかった。弁当だって、途中までは普通に食べれていたはずだ。なのに、なんでいきなり? 『ま、理音には今更って感じか』  俺は、なんであんなことを言ってしまったんだろう。 何で理音に意地悪なことを言ったのか……理由は単なる嫉妬だ。  理音は高校に入ったあとモデルの仕事を始めて、元々モテてたのが更にモテだして、俺の知らない交遊関係がある。いつ童貞を卒業したのかは知らないが、チャンスはいつもそこらへんに転がってるんだろうと思う。 俺は、理音を想像しないと勃起すらしないのに。

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