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第18話
そんなこんなでめちゃくちゃ自分勝手だけど、俺がそんななのに毎日女と遊んでいると吹聴する理音が単純にムカついた。
変な病気になると心配したのは本心だけど、恨みを買って刺されでもしたら……。
「……昂平……」
「理音!?」
俺の腕の中で、少しだけ意識が戻ったみたいだ。
「理音、大丈夫か!?今保健室に」
「俺、遊んでないよ……」
「え?」
つうっと、理音の目から涙が一粒こぼれた。
「遊んでない……」
遊んで、ない?どういう意味だ?
それだけ言って、理音はまた気を失ってしまったようだった。
「と、とにかく保健室に向かってるからな!」
俺は更にスピードをあげて保健室までダッシュした。
「小野先生!!理音が倒れました!」
「は?」
「2年3組の猫田理音です!!」
「……あぁー、モデルの?どうしたよ」
うちの学校の保健医はおっさんだ。いや、俺たちにとってだが。
35っておっさんだよな?先生は否定するけど。でも無精髭を生やしてる上に髪はぼさぼさで、白衣の下の服もヨレヨレ。どっから見ても立派なオッサンだと俺は思う……って今はそんなことどうでもいいんだ。理音を助けてくれ。
「オイ、寝てるだけじゃねーか」
「え?」
俺は腕の中の理音を見た。さっきはかなり蒼白かったのに、今は顔色も戻って、スヤスヤと寝息を立てている……え、マジで寝てるだけ?
「弁当食ってる時にいきなり顔蒼くして、ガターンって派手に倒れたんですけど」
「ふーん、寝不足なんじゃねーか?それで貧血起こしたか。猫田ってけっこう売れっ子で忙しいんだろ?なのに部活も勉強も頑張っててステキよね、とかなんとか女子が話してるのを聞いたことあるぞ」
「……………」
「だからあたし達とはぜんぜん遊んでくんないって嘆いてたな、もったいねー話だ。いっそコイツと顔面交代してぇわ、俺が有効活用してやるから」
「冗談でもやめてください」
「冗談に決まってんだろ。まぁいい。ベッド空いてるし、起きるまで寝かせといてやれ」
どこまでも適当な小野先生の言葉に甘えて、(どっちにしろ理音は爆睡してるし)空いてるベッドにそっと理音を寝かせた。
もう涙は止まってて、穏やかな顔で寝ている。遊んでないって、そういうことか。
確かに、理音は頑張ってる。なんでそんなに頑張るんだ?ってこっちが不思議に思うくらい。そんなの、一番近くにいる俺が一番分かってあげないといけないのに。
「……意地悪なこと言ってごめんな、理音」
そっと額に手を当てる。
俺の方が体温が高いのか、理音の肌は少しひやっとしていた。
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