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第33話
「今日は部活行けるのか?」
「ん、行く」
「じゃ、迎えに行くな。俺も何かあーん」
「ん」
卵焼きのお礼に、キノコの照り焼きを数本、晃平の口へと運ぶ。
こいつは意識してねーだろうけど、『あーん』とか普通は恋人がやることだぞ、わかってんのか?
わかってねーからやれるんだろうけど、俺の方は無駄にドキドキするから困る。
「ほんとにRIONって犬塚くんとラブラブだね~(くっそ萌える!くっそ!くっそ!)」
「あたしたちの入る隙間がないよぉ……(いいぞ、もっとやれ!)」
「ちょっとは遠慮してよね、犬塚くん!(ホモォ……美味しいです……!)」
俺達のやりとりを見て、近くで弁当を食べてた女子たちが茶々を入れてきた。
本気で恥ずかしがったり否定したりしたら逆に怪しさが増すから、俺はあえてその手の冗談には乗ることにしている。
「そりゃ、昂平とは17年も連れ添ってきたんだからな、簡単には入れてあげねーよ」
その言葉は、女子達と宇佐木に向けられたものだ。ここに宇佐木はいないけど。
あんなポっと出のやつに昂平は絶対渡さねぇ!そんな思惑を絶対に悟られないよう、女子達にはにっこりと営業用の笑顔を向けた。
「ねぇねぇ、理音くんたちってどっちが受け…じゃなくて、ネコなの?」
ん?ネコ?
「猫って……そりゃ俺のほうに決まってんじゃん」
俺、猫田だし。
質問の意味がよくわからなかったけど、女子たちはキャーッと黄色い声をあげて喜んでいた。え、今のセリフになんか興奮するところあった?
「どう思う?昂平」
「まぁ、普通に考えてネコは理音だよな。俺は犬だし」
「だよな」
なんでか昂平までニヤニヤしてるし。
意味わかんねぇ。
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