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第34話
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やばい、ニヤニヤが止まらない。
理音が可愛すぎるから、マジでやばい。
自分でネコって認めたぞ、理音!(ネコとかタチという言葉は宇佐木に教えてもらった)
つまりは俺に抱かれる方なわけで……いや俺にって決まったわけじゃないけど。
「コラ昂平!!さっきからニヤニヤしてねーで早くサーブ投げろっ!!」
ハッ
今は部活中だった。そんでもって部員同士でチームに分かれて練習試合中。相手チームの佐倉先輩からの怒号が飛び、俺は妄想の世界から帰ってきた。
理音は同じチームだから、ニヤニヤしてる顔は見られずに済ん……いや、見られてた。
「犬塚先輩があんなゴキゲンな顔してるの、初めて見ました俺」
「きめぇ」
うわ、すげぇドン引きしてる。でも引いた顔も理音は可愛い。
「……いきます」
いつもの仏頂面に戻し、息を吐いて、興奮をそのままボールに乗せてジャンプサーブをかました。ボールは物凄い轟音を立てながら相手のコートへと突き刺さってバウンドした。
ふう……。
「アウトだよ馬鹿!何満足した顔してんだ!」
「あれ?」
「お前、これが試合だったらぶっ殺すぞ!」
いけないいけない、興奮して力が入りすぎてたみたいだ。佐倉先輩は普段はチャラいけど、試合中は練習でもガチで厳しくて恐い。さすがチームの要、正セッターだな。
それでも、最終的には俺と理音のいる方のチームが勝った。
「犬塚、ナイスファイト。でも試合ではポカすんなよ」
「うっす」
そう言ってくれたのは尊敬する矢野キャプテン。男子バレー部では理音の次に人気がある。
でも理音は補欠だから、バレー部員としてじゃなくてモデルとしての人気だ。
つまりバレー部員の中では矢野先輩が実質一番人気ってことだな。
補欠であることを、理音本人は仕事もしてるから仕方ないって言ってるけど、ホントはレギュラーになりたいんじゃないかって俺はひそかに思ってる。
でないと、朝練だって毎日来たりしないよな。トレーニングだって本人は言ってるけど。
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