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第35話
「昂平、サーブ練習付き合って」
「おう」
理音は自分はバレーがへたくそだって言うけど、決してヘタなわけじゃない。
でもバレーは怪我もするスポーツだから、あんまり無理はしてほしくないと思ってる。
ましてやモデルだし、ブロックするときに顔面にボール受けたらどうすんだ。
理音は仕事も真面目にこなしてるから、ホントに誰かが見ててやらないとこの間みたいに身体を壊す。
誰かって、その役は他の誰にも譲る気はないけど。
「行くぞー」
バシッ
「……………」
理音はヘタじゃない。
ヘタじゃないんだけど……。
「敵の真正面に行きすぎなんだ、お前のサーブは」
「線ギリギリに打ったつもりなんだけど!」
「どこがだよ」
~佐倉先輩と後輩進藤の会話その2~
「佐倉先輩!犬塚先輩と猫田先輩の姿はもはや、カップルがイチャついてるようにしか見えません!俺の目がおかしいんでしょうか?」
「安心しろ進藤、俺もだ」
「さっき犬塚先輩がゴキゲンだったのって、やっぱり猫田先輩が関係あるんですかね」
「それ以外にねぇだろ」
「なにがあったんでしょう?」
「さあ。チューでもされたんじゃね」
「わああ!大人の世界!」
俺の背後でそんな話をしている佐倉先輩と進藤。聞こえてないフリしてるけど、俺には思いっきり聞こえてるからな。
それに、残念ながらチューではなくて間接チューだ。
おかずの食べさせあいっこをする時、俺はいつもさりげなく理音の箸を舐める。
……変態くさいと罵るなら罵ればいい。俺は傷つかない。
なぜなら、変態くさいっていうか変態そのものだからだ。開き直った人間は何よりも強い。
でも間接キスより、食べさせる時にチラチラと見える理音の赤い舌の方が興奮するんだけどな。
いけない、これ以上思い出すと勃起するからやめておこう。
部活中くらい自重しろ、俺。
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