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第41話
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昂平の顔が、まともに見れない。
久しぶりに昂平の家にお泊まりをしたのが、今から丁度一週間前のこと。英語の課題を教えてもらうために押しかけたんだけど、どうせ朝起きるのも早いし、わざわざウチに来させるのも悪いから、そのまま泊ることにした。
結構無理矢理だった気がしないでもない。
でも、昂平を宇佐木に取られたくなかったから、俺達は前以上に親密になる必要があった。俺たちっていうか、俺が、だけど。
結局何の進展もハプニングもなく、健全な夜を明かしたわけだけど事件は朝に起こった。
やけにあったかくて寝ごこちが良かったからか、自分のベッドじゃないからか。
俺は珍しくその日の朝、早起きをした。そしたら真正面に、昂平の顔があった。
『えっ……?』
俺は昂平の胸にしがみついていて、昂平はそんな俺を優しく包み込んでくれてるような体勢。こんな恰好で一晩を明かしたという信じられない事実が俺を襲いかかり、一瞬で頭に血が上って一気に目が覚めた。
俺は眠っている昂平の腕の中から逃げ出して、ベッドの下に落下した。その音で、昂平は目を覚ましたらしい。
『理音?もう起きたのか、珍しく早いな……』
『お、おはよう昂平!!あと五分で五時半だぞ!!』
『……なんで朝からそんなハイテンションなんだ?』
良かった、バレてないみたいだ。俺が昂平に抱きついて寝てたこと。きっと夜中に寝ぼけて抱きついて、昂平は俺を抱き枕だと思って抱きしめたんだろう。うん、そうに決まってる。
つーか昂平が先に起きてたらやばかったな。マジでやばかった。
男同士で、まあ同じベッドで寝るのだけはまぁアリとしよう。でも、そっから抱き合って寝るってのは問題だ。明らかに、大問題。
きっと昂平が先に起きてたら、俺はドン引きされていただろう。幼馴染の男にひっついて寝るとか、痛いにもほどがある。
しかも夢で昂平が、
『理音、好きだ』
って!俺に言ったんだ!あああああもう!!夢なのに夢なのに夢なのに!!!
……夢、なのに。
それで俺は、あの日からマトモに昂平の顔が見れない。普通に話すことはできても、目を合わすことができなくなってしまった。
きっと昂平も、そろそろ不審がってると思う。でも、うまい言い訳も思いつかない。
どうしたらいいんだろう。
どうしよう……。
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