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第47話
とにかく、こいつが仏頂面を崩す瞬間を俺は見てみたくなったのだ。別にずっと張り付いて観察するわけじゃないけど。
偶然でも、見れたらいいなーってくらいの程度だ。
そしてその瞬間は、案外すぐに訪れた。
昼休み、俺はいつも保健室で飯を食う。1年の時から、保健医の小野先生のことが好きだからだ。
今はその話はおいといて……。
飯を食い終わって教室に帰るとき、3組の教室で誰かと話してる犬塚を見つけた。
あいつ、隣のクラスで飯食ってたのか。
そんなに仲のいい友達がいるのか?バレー部の奴かな。
そんなことを思って、通り過ぎようとした瞬間。
ーーえ?
仏頂面で、いつもポーカーフェイスを崩さないその男が、ふわりと幸せそうにほほ笑んでいたのだ。
奴の目の前に座ってるのは、顔は見えないけど茶髪で、肩は細いけど身長はある、間違いなく男子だった。
同じクラスのバレー部員同士で話してたのは見たことがある。でも、あんな顔をすることはなかった。
それが、あの茶髪くんの前では……。
何を話してるかまでは聞こえないけど、犬塚は破顔しながら、嫌がるそぶりを見せるそいつの頭を撫でたり、顔を触ったりとやりたい放題だ。カップルのようなイチャつきっぷりに、見てるこっちが赤面した。
周りで二人を暖かく見守っているクラスメイトの女子達からは、涎が垂れているようにも見える。
そして俺は確信した。
すこーしだけ、仲間意識みたいなものは最初から感じてたんだけど。
犬塚は100パーセント、ゲイだなって。
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