70 / 141

第70話

* 「んじゃ、二人はめでたく両想いになったんだ」 現在保健室で、俺の前に座っている二人組は、校内でも有名な仲良し幼馴染コンビ、猫田理音と犬塚昂平。 理音くんは怪我人が座る用の丸椅子に腰かけて、深々と俺に頭を下げている。 「その節は多大な勘違いとご迷惑をおかけしまして……」 「別にそんな丁寧に謝る必要ないぞ、理音。お前は殴ってないんだし。殴られたの俺だし。むしろ俺に謝れうさぎどんこのやろう」 理音くんの隣で、パイプ椅子に腰かけた不機嫌そうなわんこ。俺と理音くんが仲良さげに話すのがそんなに面白くないのか。身体はデカイ癖に器の小さい男だな。知ってるけど。 「やだよ。むしろお前の変な勘違いが招いた誤解だろうが」 「そーだぞ昂平。何が俺が襲われないか心配、だよ」 それは俺も驚いた。物凄い勘違いだ。 つーかコイツは俺を野獣か何かだと思ってたのか。そりゃてめぇだろーが。 「俺は小野先生一筋だっつーの。つーかバリネコだっつーの」 「……二人して俺を責めるな」 ふふふ。 こんな風に理音くんと俺が仲良くなるのが嫌だったんだろうけど、もう戻れないからな。 「ねこ?猫は俺だぞ。宇佐木は兎だろ」 「コッチ用語でね、突っ込まれるほうをネコっていうんだよ、理音くん」 「突っ込み?何、宇佐木ってお笑い目指してんの?つまり、ボケの方をネコっていうのか?」 ぶはっ!! 「え、なに、何で笑うの?ってお前も笑うな昂平!!」 やばい、理音くんてば純粋すぎだろ。モデルってゲイも多いって聞くから絶対詳しいと思ってたのに。 これは絶対、男同士のセックスの仕方も知らないんだろうな。わんこ、ご愁傷様。 でも、色々教え込むのって楽しいから少し羨ましいかも……。 「前にも女子にどっちが猫かって聞かれたな。なんで俺が猫田なのにわかんねーのかな」 「うんうん、わんこがネコってのもなんかね、まあ画面(えづら)はあんまり悪くないけど」 「いや悪いだろ。なんで俺がネコなんだ」 「だからネコは俺だってば!お前は犬だろ!」 「そんな全力でネコ主張したらダメだよ、理音くん……危ないから」 知らないとはいえ、こっちが恥ずかしくなってくる。 本人にそんな気はないだろうに、ごめんよ理音くん。

ともだちにシェアしよう!