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第74話

「痛ってぇ…」 朝練が終わり、シャワーを浴びて教室に戻った。理音のサーブでぶつけられた顔面がまだジンジンと痛む。まるで最近の俺を制裁するかのような痛みだ。 くそっ、しっかり理性を保てよ、俺……! そもそも、なんで俺がこんなに必死で理性と戦っているのかというと。 理音と気持ちが通じて両想いになったのが3週間ほど前。もちろんその夜に俺は理音と致そうと思ったが、あいにく母さんは日勤で家に居た。その次の日も、その次の日も同じく。 そしてその次の日、ようやく母さんが夜勤で、俺は理音を家に呼ぼうと思った。 ーーが。 そんなときに限って理音に仕事が入り、結局また致す予定は流れた。そんなことが続いたため、俺はなかなかその機会に恵まれなかった。 そして、度重なるすれ違いの中で俺が耳にした、クラスの女子の会話がこちら。 『付き合いだしたからってすぐ手ぇ出そうとする男とか、まじサイテ―!!』 『あーうん、サイテ―だね、すぐ別れたほうがいいよ』 『もちろん別れたって!バカじゃん?付き合いだしたからってすぐ自分のものだとか思うなんて。誰もお前のものじゃねーっつーの。チンコ蹴りあげてやったよ』 『エリコ、まじ男前!でもホント、大事にしようとかそういう気ないのかねー?』 『ないない。あいつらマジでサルじゃん!?てゆーかサル以下だよ』 『えりこきっつーい!』 サル以下……………だと? 俺は犬塚だから、犬だ。 ってわけにはいかないんだろうな、うん。 その会話を聞いて以来、俺は考え直したのだ。今すぐ理音を押し倒したいが、確かにそれは俺の勝手な欲望だ。 理音は受け入れる側だし(勝手に決定)その、心の準備というか……そもそも、俺を受け入れる気はあるのか!? 男同士のセックスの仕方は知っているんだろうか。俺は調べたけど。 とにかく男同士のセックスは、女役に多大な負担をかけるという。俺は理音を抱きたいけど、無理はさせたくない。 大事にしたいとも思っている。というか日々甘やかして大事にしている。けどセックスもしたい。でもなかなかタイミングが合わない。 というかそもそも…… というループに陥っているのだ。

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