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第75話
「おっはよーんわんこ!今月号見たか―い?」
理音が初めて表紙を飾った雑誌で、宇佐木に後ろから頭をはたかれた。なんつー挨拶の仕方だこの野郎。それと勿論雑誌は買ってある。軽く三冊ほど。
ガタッと音を立てながら、宇佐木は俺の後ろに着席した。どうやら雑誌は今朝コンビニで買ってきたらしく、パラパラとページをめくっている。
「理音くんの特集ページまじでたまんないね!かっこいいわ~、同じ男として憧れるわ~」
「憧れるのはお前みたいな小綺麗系の男だけだろ」
俺は理音が大好きだが、理音みたいになりたいと憧れたことはない。そもそも骨格が違うからな。
理音は華奢だし細いし、憧れる男は少数じゃなかろうか。理音のようになりたいと思っているのは、宝塚的な女のほうが多いんじゃないかと俺は思っている。
「なに?わんこ、朝から盛大なため息ついてさぁ。まさかまだ理音くんに手ぇ出してねーの?」
「……タイミングが合わないんだ」
「タイミングぅ?そんなもんお前、放課後部活のあとにでも部室ででもヤれるだろうが。なんなら昼休みの保健室でもいいよ。もちろん、俺もその場にいるけどなっ」
「冗談じゃない」
ぎろっと睨むと、宇佐木はぶんぶんと手を振った。
「冗談に決まってんでしょ。つーかまじで、なんで?せっかく両想いになったってのに。まさか、一度押し倒して拒否られたの?」
「ちーがーうー」
ナチュラルに失礼な奴だな!自分が保健室のおっさんに相手にされないからって!(暴言)
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