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第78話

宇佐木は俺の反応がいまいちだったのが面白くないのか、そのブログとやらを読み始めた。 「昨日もRIONと撮影でした!最近のRIONはますます美人になってきて、もういっそ恋人は女の子じゃなくてRIONでいいなって思ってる俺です(笑)」 は? 「もちろんRIONには振られましたが(笑)なにやら好きな人がいるそーです。ちくしょーうらやましいぜ!RIONの想われ人!!でも、ぶっちゃけ相当可愛くないとRIONの隣には並びたくなくねえ?とか意地の悪いことを思う俺であります(笑)」 俺はばっと宇佐木のスマホを奪った。画像をよく見ると、千歳シンジは理音の肩を抱いて密着していた。なんだ、これ。 単なるスキンシップ画像と思ったけど、文章を読んだらそんな穏やかなこと言ってられないじゃないか。 「どうだ、少しは焦ったか?千歳シンジ、ちょっと本気くさくねぇ?ブログにまで書いてさ、明らかにケンカ売られてるぞお前。ま、千歳シンジは女の子が相手だって思ってるだろうけど」 「………」 「RIONの恋人が男だって知ったら、絶対奪いにくるだろうなー。つーか理音くんって結構隙だらけだし、危ないよなー。お前ぼーっとしてたらマジで、千歳シンジに先越されちゃうぜ?」 ふざけるなよ…………… いやまじで ふざけるな、千歳シンジ!! 「ま、これでお前が早く理音くんをモノにすれば、理音くんだって嬉し…って、おい!?わんこ、どこ行く気!?今から授業始まるぞ!?」 下心ありで理音にくっつくとか、許せない。 その上ブログに宣戦布告か。いい度胸だ、受けて立ってやる。 「今から千歳シンジのいるスタジオに殴りこんでくる」 「バカかっ、相手も高校生なんだから今は学校だろ!」 「千歳シンジの学校はどこだ」 「知らねぇよ、そんなの」 「チッ!」 俺は盛大に舌打ちをすると、また席に着いた。俺が席についたタイミングで、教師が教室に入ってきた。 俺は千歳シンジのブログ画像が気になって、授業には全然集中できなかった。 まあ、じーっと見つめてるから授業どころの話じゃないが。 「おいバカわんこ、いい加減俺のスマホ返せ……」

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