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第81話
俺は簡単に経緯を話した。
相手が男だってことは言えないから、ちょこちょこ不自然なところはあるけど。
「つまり、付き合った彼女がなかなか身体を許してくれない、ってこと?」
「う~ん……まあ、そんなとこかな」
「何弱気になってんだよ。そんなの、RIONがハダカでベッドの中から誘えばイチコロだろ」
「なるほど」
はっ……俺は一応女の子と付き合ってるってことにしてるのにそれはおかしくないか!?
納得しかけたけど、あぶなかった!!
つーかそんなんで誘われてくれる女の子は嫌だよ。でも、昂平には使えそうだな。
「まあ、そういう誘いに乗ってくる子じゃないのです。俺、本気だし。なんつーか……拒否られんのが恐いっつーか……」
「あれま、随分弱気ですね?天下のRIONさんともあろうお方が。そんなに可愛い子なのかい?」
なんだ、天下のRIONさんって。俺はただの三流モデルの高校生だっつーに。
ソレをいうなら天下の千歳さんだよな。
「……顔はふつーっていうか……よく見たら、可愛いくらい。勿論、俺には世界一可愛いけど」
ほんとはかっこいい、って言ってあげたいんだけどな。でも、晃平は可愛いとこもあるから、間違いでもない。
「へぇ~。ねえ写メないの?RIONがそこまで入れ込んでるのって珍しすぎて、俺見てみたい!」
「絶対見せない!ブスとか言われたらやだし」
「ちょ、俺がRIONの彼女にそんなこと言うわけないでしょ!?」
控室のドアがノックされて、俺のマネの斎藤さんが顔を出した。
「RION、千歳くん、準備できてる?もうそろそろメイク呼ばれて撮影だよ~」
「あ、今行きます!」
俺と千歳くんは連れ立って、控室を出た。
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