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第83話
「俺の失恋記念に一緒に写メ撮ってくんない?今日のブログに載っけるからさ!」
「千歳くん、ブログやってんの?」
知らなかったな。今時珍しくもないか。
むしろ芸能界に片足突っ込んでるのに、SNSを何もやってない俺の方が珍しいのかも。
「おう。RIONもやればいいのに。……って、ダメか、ミステリアスが売りのRIONだもんな」
それは事務所が勝手に言ってるだけだけど、イメージは大事かもしれない。
それに……
「俺今部活が忙しいし、毎日ブログ更新とか無理かも」
「え……あっはは!すっげー高校生らしい健全な理由だな!つーかRIONって何部なんだっけ?」
「男子バレー部。ずっと補欠だけどね。でも来年は3年だし、レギュラー取れるように頑張ってんの」
「うわ、まじ青春してんじゃん!俺も部活しよっかなー……って3年はそろそろ引退の時期か」
「決意が遅すぎたねー」
そんな会話をしながら、千歳くんはスマホを持って俺のそばにきた。
自然すぎる動作で俺の肩に手を回して、ちょっと近すぎない?ってくらい密着した。
少し、ドキッとした。 千歳くんにじゃなくて、昂平への後ろめたさみたいなものにだ。
「じゃあRION、笑って笑ってー」
気にしすぎ、だな。告白まがいなこと言われたけど、きっと千歳くんは冗談だ。
俺達はずっと、ただの仲のいい同期だから。
「サンキュー、RION!つうかヤベエな、真横にならんでるのにお前の顔の小ささよ……」
「それ、千歳くんが言う?どう見てもおんなじくらいでしょ」
「ハハッ!」
ほら、俺達はただの友達だ。浮気とかじゃ、ないからな?
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