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第85話
「まぁいいや。宇佐木ってなんの機種使ってんのかなっと」
「あっ」
ひょい、と止める間もなく理音は宇佐木のスマホを手に取り、開いてあったその画面を見た。そしてその途端、理音の顔から表情が消えた。
なんだ?その反応は。まさか……
「こ、これ昨日撮ったやつだ!千歳くん、まじでブログに載せたんだな~っ、なんかこうやって客観的に見るとちょっと恥ずかしいな」
ぎこちない。鈍い俺でも分かるくらい、理音はぎこちなく言った。
まさか、本当に?
『モデルの野郎どもに理音くんを取られるぞ』
「……理音」
少し低めの声で呼ぶと、理音はビクッとした。おそるおそる、といった様子で俺の方を見る。
「な、なんだよ」
「ブログに、RIONに振られたと書いてあった。千歳シンジに告白されたのか?」
そう聞いたら、理音はひどく焦った顔をした。
「そんなの、冗談だよ。俺は、本気にしてない」
「じゃあなんでそんなにびびってるんだ?何か俺に後ろめたいことでもあるのか」
「びっ、びびってなんかない!変なこというな!!」
理音の大声で、教室に居た全員がこっちを注目した。俺は小さく溜め息を着くと、理音の 腕を掴んだ。
「そのスマホはその辺に捨てて、ちょっとこっちに来い」
「……ッ!」
教室を出て、どこでもいいから二人になれるところを探して……
結局、トイレの個室に理音を連れ込んだ。
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