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第94話

「あ、RION!今日の衣装控室に置いてるから、詳しくはシンジに聞いてー!」 スタジオを出る前に、また別の女性スタッフが理音に声をかけた。あの人は衣装さんだろうか? というか、千歳シンジは今控室に居るんだな!!よし、臨戦態勢に入るぞ! 「ごめん昂平、俺ちょっとトイレ行きたい」 「あ。分かった」 撮影前だからな、大事大事。トイレの前のベンチで待ってようと思ったが、何故か理音に制服を引っ張られて俺もトイレの中に入ってしまった。個室までは入らなかったが。 そして、理音は俺にがばっと抱きついてきた。 「り、理音?どうした?」 これは、昼休みの時と全く逆の光景!!理由はまったくわからんが、とにかく理音が可愛いんだが!? 「……和泉さん、昂平のことイイ男だって言った!見抜いた!そんなこと知ってるの、俺だけでいいのに!!」 「え?」 「昂平が俺以外の人にそんな目で見られるの、やだ……やだ……ンッ」 行動もさることながら、あまりにも可愛い言動をするものだから、思わず理音の口を塞いでしまった。 もちろん、キスで。きつく抱きしめながら。 「ンッ、ンッ、こうへぃ……」 「理音…あんまり可愛いこと言うな。スタジオに行かせたくなくなるだろ。お前、これから自分がどれだけの人間に見られると思ってるんだ」 「ぁ……」 理音はとろんとした目で、少し悲しそうな顔をした。自分がいかに自己中心的なことを言ったのかを悟ったんだろう。 まあ、俺は嬉しくてたまらないんだけどな。それに、理音はモデルで撮られるのが仕事だから、本気で責めてるわけじゃない。 「心配しなくても、俺は最初から理音しか見てない。俺も理音が他の人に見られるのは嫌だけど、俺の理音とモデルのRIONは別ものだから我慢できる。まあ、モデルのRIONも好きだけどな」 「昂平……」 「おしっこは?もういいのか?」 フルフルと首を振る理音。それを言うのだけが目的だったのか。 本当に可愛い……ああー、襲いたい襲いたい襲いたい。我慢しろ俺。

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