96 / 141

第96話

そして二人は撮影用の衣装を着た。色は違うが双子のように対になったオシャレなデザインで、それを着こなす二人の姿は単純に美しい、と思った。一般人だと見れたもんじゃないだろうな。 不思議と、理音が他の男とお揃いの服を着てても悔しい、なんて感情は一切湧いてこない。 もし俺がその服を着ろと言われても、俺には絶対に似合わないし、俄然お断りだ。 やっぱりモデルというのは凄いな、と改めて感心した。 二人はこんなの当たり前みたいな顔で、また雑談を始めた。 「てかRIONって猫田っていうのか?可愛い名字だなー、下の名前は?」 「そりゃ、リオンだよ。理科の理、に音で理音。もしかして千歳くん、俺の名前ずっと芸名だと思ってたの?」 「お、おう。そっか、お前、理音って言うんだ」 「えー!千歳くん今更すぎでしょ!!」 千歳のやつ、本名も知らないで理音に告白したのか。なんていうか、結構適当なヤツだな。 そして俺は、一つ突っ込みを入れた。 「ていうか理音、お前千歳さんの前だとなんでそんなにブリッコなんだ?」 「はぁぁ!?別にブリッコとかしてねぇーし!ふざけんな昂平!」 一応学年が一つ上の先輩らしいから、さん付けで呼んだ。さっきからずっと気になっていたんだよな。理音がかわいこぶってるというか……可愛いからいいんだけど。 そうそう、そういうのがいつもの理音だ。案の定、千歳はあんぐりと口を開けてぽかんと理音を見つめている。 無意識だったんだろうが、理音、今までどれだけぶりっこかましてたんだよ。 「RION!千歳くん!何してるの、和泉さん待ってるよー!!」 「あ、すいません!」 「今行きます!!」 斎藤氏が呼びに来て、理音と千歳は慌てて服を再度整え始めた。そして、先に千歳が控室を出て、次に理音と俺が出た。 「走るぞ、昂平!」 「わかった」 場所はわかってるんだが、理音は俺の手首を掴んで走り出した。少し耳が赤くなっていることに気がついて、俺は理音に聞こえないようにクスッと笑った。

ともだちにシェアしよう!