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第98話

いいことを思いついた。リラックスというか逆に硬くさせるかもしれないが、要するにだ。 「理音、集中だ!集中しろ!」 「……昂平?」 リラックスって、集中するってことだろ。それならこの方法が一番最善だと俺は思う。 いきなり会話しだした俺達に、周りのスタッフからぎょっとしたような視線が集まったが気にしない。 「試合中だと思え!23対24のマッチポイントで、お前が今まさにジャンプサーブを打とうとしているところを想像しろ!相手はライバルの北峰高校だ!!」 「はあああ!?ちょ、馬鹿かよッ!!いきなりそんな想像できるわけねーだろ馬鹿!」 「いいから想像しろ!イメトレだイメトレ!ちょっとはサーブをコントロールできるようになれ理音!狙うはラインぎりぎり、間違ってもリベロの前には打つなよ!」 「あーもううるせーなー!大体俺は補欠で試合出たことねぇから想像なんてできねぇよ!!なんならボールをここに持ってこいよ!!」 「イメトレだと言ってるだろ!てかお前、次の試合は絶対レギュラー入りなんだからちょっとは想像しろ!!試合でポカしたら佐倉先輩にシメられるぞ!」 「……ッッ!」 理音が黙った。俺が勝った。よし、集中モードに入ったな。 これで撮影はうまくいくぞ、と安心したら、いきなりどっと大爆笑が巻き起こった。 「ちょ、アハハ!アハハハハ!!試合中を想像しろって、無理でしょそりゃー!!面白すぎだろ彼氏!!あっははははは!やべぇツボったし!!ていうかRIONマジでめっちゃ部活少年じゃん!!RIONがサーブ打つとか想像できねぇよ!!」 涙を流しながら爆笑する千歳。他にも。 「ひぃッいひひひひ……!!だめだ、おかしすぎる!確かに僕がリラックスさせろとは言ったけど、まさか部活で例えてくるとか……あーっはっはっは!!昂平くん最高、ひぃひぃ、いひひひ!!てゆーかやばい、RIONのキャラじゃないし!!誰なの!?」 不気味な笑い方をする斎藤氏。やはり涙を流して腹を抱えている。更に他の方も。 「あはははは!!RIONって普段そんな感じなの!?普通の高校生じゃん!!」 「こっ、高校生なんだよRIONは!!でもマジでやばい、超普通の高校生男子だ!!可愛すぎるんだけど!!」 「ぶふっ、ぶふふふ!RIONがバレーしてるとこ俺超見たいんだけど!てゆーか撮りに行くから試合日教えてよ!やばい、イメージ狂うわ~!!」 メイクの和泉さんや衣装さん、カメラマンの人もみんな仕事を忘れて大爆笑中だ。俺、そんなにおかしいこと言ったか? ああ、あとでカメラさんに試合の日程を教えておこう。 理音の方を見ると、顔を真っ赤にして俺を睨みつけていた。プルプルと震えている。 あれ?怒ってる?? 「もうッ……もうお前はスタジオから出て行けばかぁぁぁぁぁ!!!!」 理音の絶叫がこだまして、ますますスタッフの大爆笑も大きくなった。 とりあえずこれ以上怒らせてはマズイと思った俺は、理音の言うとおりにスタジオを後にした。 とりあえず一番の目的は見学じゃなくて千歳への牽制だったし、目的は果たしたも同然だしな!課題でもして待ってるか。

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