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第101話

あれ?あの身長……後ろ姿……頭の形…… え、まさか。まさかまさか。 あれって、もしかして…… 「RION!昂平君ってば超化けたよ―――!見てみてぇ!」 和泉さんが俺を呼び、黒を基調としたオシャレな服に身を包んだ彼が振り返る。 「昂……平……?」 いつもの寝ぐせ付きの髪型はワックスで整えられて、少しオールバック気味にされている。少し化粧もされてる?眉毛もキレイに整えられて、何故か銀ぶちの眼鏡を掛けていた。視力2.0の癖に、と思ったが、そのダテ眼鏡もおそろしく似合っていた。 そんな、今まで見たこともない昂平が、俺のほうを見て少し恥ずかしそうにしながらも『どうだ!』ってドヤ顔で笑っていた。 「RION、おーい、RION―?ちょ、固まってるぞ」 ていうか、普通に超カッコイイんですけど 「理音?どうした、まさか俺が誰だかわからないのか?」 昂平はそう言って俺の方に近づいてきた。あのオシャレとは無縁な昂平が、ブランドもののオシャレな服を着るとここまでかっこよくなるのか。 いや、俺の欲目もある? ちがう、ちがう、ちがう!欲目なんかじゃない、この昂平はかっこいい。 ていうか、かっこ良すぎ、る…… どうしよう。 「RION見惚れすぎだって、確かにカッコイイけど、俺の方がかっこいいよなあ?」 「現役モデルと一般人を比べないでくれますか」 「いやいや、でも昂平くんもシンジに負けてないよーっ!ね、RION?」 どうしよう。 どうしよう。 「理音、ホントに……恥ずかしいからそろそろ何か一言感想か何かを言ってくれないか?お前を驚かすためだけにこんな恰好してるんだから……」 「脱げ」 「え?」 「今すぐその服、脱げ!眼鏡も外せ!髪も元に戻せよ!!」 俺は昂平に掴みかかると、この場で昂平の服を脱がそうと服に手をかけた。昂平は慌てて俺の両手首を掴み、俺の行動を抑制した。 「おっ、おい理音落ち着け!分かったから、ここで脱がそうとするな!……そんなにこれ、似合わないか?」 「似合ってるからさっさと脱げって言ってんだよ!!」 だめだ、昂平。 そんな、誰が見ても一目見ただけでカッコいいと思うおまえなんか、絶対にだめ。 だって……だって…… 「似合ってるならいいじゃん!ね、RIONと2ショットで写真撮ろう写真!せっかく私と衣装の村田ちゃんが頑張って着飾ったんだからさーっ記念にね!」 「だめだってば!!こんなにかっこいいの、俺の昂平じゃないから!!こんなの、みんな昂平のこと好きになっちゃうだろ!!」 はっ 俺は今、大勢のスタッフの中で何を……!? 昂平を含む自分以外の人間がぽかんとしている中、俺は自分の吐きだしたセリフにぶわっと赤面したまま、フリーズしてしまった。

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