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第105話
*
俺のにわかモデル記念撮影を終えたあとに、理音をうちに誘うつもりだったが、邪魔をされてしまった。
が、まあ結果的にはその邪魔のおかけで俺の命が助かったことになるからいいんだけど。
でも雑誌の発売は一ヶ月後だとか言っていたな。やばいぞ!佐倉先輩には明日すぐに信じてもらわなければいけないのに!
「おっ、おかえりー、お疲れ!」
「千歳くん、もう着替えてたの?早いね!」
「お前らが編集長と話してる隙にとっととねー。んじゃま彼氏……昂平くん?俺も次の試合、見に行くから。RIONだけじゃなくってオマエのことも応援してやるよ」
にひ、と千歳は俺に笑いかけた。こうして改めてみると、本気で本物のイケメンだな。
俺や宇佐木もそこそこいけるほうじゃないかと思っていたが(自画自賛)、所詮は素人、まがい物もいいとこか。もちろん理音は別格だが。
「あ」
「ん?」
「千歳さん、俺と一緒に写メを撮ってくれないか?理音、写メを頼む!!」
「はぁ?」
理音が怪訝な顔をしてアホみたいな声を出した。そうだ、この手があったぞ!!
「俺が今日このスタジオで撮影をしていたと証明するには、芸能人と写メを撮るのが一番だからな!理音じゃ見慣れすぎて信憑性に欠けるし!」
「はぁぁぁぁ!?殴るぞお前!!」
殴られるのはゴメンだが、俺には明日もっと恐ろしい佐倉先輩の制裁が待っているのだ!なりふり構っていられるか!!
千歳は何ナニ?と楽しそうにしていて、理音は舌打ちをしながらも了承してくれた。
「なんかよくわかんねーけど、俺と2ショット撮るってことは今夜のブログにはお前が載るぜ?」
「いい、いい、いくらでも載せてください千歳様!その方がより信憑性が増す」
「千歳様て……お前面白いな昂平!ヘンなヤツ!」
「よく言われる」
今日はこいつに宣戦布告しにスタジオに来たはずなのに、気付けば友達になっていた。結果オーライか?
「おら、変顔しろ変顔!シロートがかっこつけてんじゃねぇぞ昂平!」
「するか、俺だと分からなければ意味がないんだぞ!」
「チッ!」
「RION、ほんとコイツの前だと性格違うのな……」
俺と千歳が仲良くなったのが気に入らないのか、理音は少しゴキゲン斜めだったけど、それでもきちんと写メは綺麗に撮ってくれた。
俺と千歳はまるで昔からの親友のように肩を組んだり、わざとカッコつけたりした。
俺は千歳と連絡先を交換し、そのうち斎藤氏が迎えに来て、俺と理音は車に乗り込んだ。
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