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第109話
理音がシャワーを終えて、交代で俺も入った。理音は5分と言っていたが、30分も風呂に入っていた……何をしてたんだ。俺の聞き間違いだったのか?
弁当は冷蔵庫に入れてある。もう、明日の朝メシでいいだろう。昼以降何も食べてないのに、不思議と腹は減ってなかった。
それはきっと、このあと行う事への期待と緊張のせい。俺は五分でシャワーを終えると、理音が待っている俺の部屋へと向かった。
「りお……ん?」
すぅ……すぅ………
微かな寝息が聞こえる。ま、まさか待ってる間に寝てしまったのか!?嘘だろ!?俺、そんなにフロ長かったか!?
「……………」
疲れている……のか?
俺は理音の寝ているベッドに近付くと、腰掛けた。すぅすぅと寝息をたてる理音の髪をそっと撫でる。
もう我慢できないからお前を抱く、なんて啖呵を切ったはいいものの、俺にはこんなに気持ち良さそうに眠る理音を起こすなんて鬼畜な所業はできそうにもなかった。
だから、すごく……すごーーく残念だけども、俺はベッドには入らず、床に客用の布団を敷こうと立ち上がった。
そしたら。
「……おい」
「えっ?」
「せっかく人が覚悟して、わざわざ襲いやすいように寝たフリまでしてやってんのに……何しようとしてんの?」
寝ていた筈の理音が、はっきりとした言葉で言った。驚いて後ろを振り向くと、身体を起こしていた理音は……全裸だった。
「……っっ!!」
「…お前さ、やっぱりアレ?土壇場に弱いっていうか、ほんとは男の俺なんか、抱きたくないんじゃねぇの……」
そうやって自虐的に笑う理音は、見慣れているハズなのに、綺麗で、綺麗で……
ついに俺の理性は崩壊した。
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