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第110話
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「ほんとは男の俺なんか抱きたくないんじゃねぇの……?」
あんなに切羽詰まった顔をして俺を抱く、と意気込んでいた癖に、昂平は寝たフリをしている俺を見て、あっさりと手を出すのをやめてしまったらしい。
ムカついて、身体を起こしてひねくれた本音を言ってしまった。
『RIONが裸でベッドの中から誘えばイチコロだろ』
千歳くんのアドバイス通りに下着すら身に付けてなかった。でも、結果的にそれはやっぱり昂平を引かせることになってしまったらしい。
あーあ、なんで俺、女の子じゃないんだろ………ぐすっ、と涙ぐんだ瞬間。
「理音……!!」
いきなり昂平に強く肩を押されて、そのままベッドに押し倒された。
「……っ!?」
驚いたのもつかの間、昂平は俺を組み敷くと今迄で一番激しいんじゃないか、ってくらい荒々しいキスをしてきた。びっくりして名前を叫ぼうと口を開けるが、すぐに舌が入ってきて俺の口内を激しく蹂躙していく。余裕なんて、まるでない。
「ンんッ!じゅぷ、チュウッ!んふっ、れろっ」
名前を呼ぶ暇もない。昂平の息はハアハアと荒くて、頭を後ろから抑えつけられて、舌をこれでもかと絡めて、吸って、まるで俺を食べようとしてるみたい。
ううん、俺は今、昂平に食べられてるんだ。食べられてる……。
「ふぅっ、チュッ!チュプッ!」
昂平は俺を思いきり抱き締めているから、下半身のモノが俺の股間に当たってる。凄く固い。
ああ、昂平、俺で興奮してくれてるのか。俺、女の子じゃないのに。
ううん。男とか女とか関係なくって、俺だから……だよな。
どうして俺がそう素直に思えたのか、それは俺も同じだったからだ。
「理音、理音っ!!もう嫌だって言っても絶対に止められないからな!」
「止めなくていいよ、ばか……ンンッ」
やっと口を離したと思ったら、そんなこと。
途中でやめられたら俺のほうがつらいっての。
舌を絡め返しながら、俺も昂平の首に手を回して、離れていかないように、ときつく抱き締めた。
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