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第120話
気がついたのは、次の日の朝だった。
「理音……おい、理音」
昂平は既に起きていて、ベッドの下に膝立ちし、俺の身体をゆさゆさと軽く揺さぶっている。その刺激で俺はそっと目を開けた。
目の前にいる昂平は裸で、勿論俺も同じ。すぐにズキンと来る腰の痛みが、昨日初めて繋がれたことを如実に伝えてくる。
「おはよ……昂平」
「っ、おはよう……」
ニコ、と笑って挨拶したら、昂平の顔に赤みが差した。
童貞か。(なんとなく)
「今、何時?」
「五時だ。その、スマン、今日も朝練があるのに無理をさせてしまった、ホントにすまん。それに昨日、あまりに興奮してコンドームも着けるの忘れてお前のナカに出してしまったし……本当にすまない!あ、勿論できるだけかき出したぞ!」
マジかよ。こいつサイテーだな……俺を妊娠させる気か?なんちゃって。
昂平はしょぼんとした顔をしている。その姿はまるで、飼い主に怒られている大型犬みたいだ。
「バカ、そんなに何回も謝るんじゃねーよ。大体俺も気持ち良かったしさ、まぁ朝練は今日は無理くさいけど」
「でも俺は行くから、お前はもう少し寝ていろ。まあ、一度家に帰らないといけないしな。…黙って行くのもなんだと思って、起こした」
「そっか。さんきゅ」
昂平は本気でしょぼくれてるみたいに見えた。だから俺は、腕を伸ばして昂平の頭をわしゃわしゃっと撫でてやった。
「理音?」
「そんなに気にすんなよ。それとも何おまえ、俺を抱いたことを後悔してんのか?」
少し意地悪な質問をしてみた。
すると昂平はかっと目を見開いて、すぐに否定した。
「まさか!後悔なんてするわけないだろう、すっごく良かったし、その……理音が可愛すぎて死ぬかと思った。主に出血多量で……いや、堪えたんだが、脳内でというか……」
「は?何、脳出血でも起こしかけたのか?」
「いやいい、なんでもない」
相変わらずちょっと変なヤツ。まあ、マジで脳内出血とか起こしてたらこんな平気な顔してらんねーよな。
「その……、理音」
「ん?」
昂平はやたらと真面目な顔で俺に向き合っていた。下半身まで素っ裸なくせに神妙なツラをしているのがどっか笑える。 何?部活行くんじゃねぇの?
すると、昂平が言った言葉は・・・
「俺……ちゃんと責任取るからな!一生お前と一緒にいるつもりだし、その、絶対にお前を幸せにするから……だから、俺と結婚してくれ、理音!」
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