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第121話

は……………?結婚? 「いや、その結婚というのはただのたとえであって、日本じゃまだ同性婚は認められてないからいっそ外国に行って籍を入れてもいいし日本式に養子縁組でもなんでもいいんだけどな、とにかく!!俺は一生お前のそばにいて、お前のことを守りたいんだ。だから、俺と結婚してくれ!理音!!」  素っ裸で床に正座をして、大真面目な顔で寝起きの俺にそんなことを言う昂平。まったく、笑うと腰に響くのに。  笑わない方が無理だろ、これは。 「あっははははは!!お前なぁ、そんなかっこでそんな真面目なツラしてプロポーズて!!」 「む?」 「ちょっとは状況考えろよばか!!笑えって言ってるようなもんだろーが!あははははは!!」  痛い、腰が痛い、イターイ。けど、笑わずにはいられない。 「お前、そりゃ格好はウケるかもしれないけど俺は一応真剣にだな……!?」 「はぁはぁ、あーおっかしー!ていうかお前、何今更プロポーズとかしてんの?」 「え?」 だって…… 「もう、してくれてんじゃん。12年前、くらいか?」 『りおちゃん、ずーっとぼくがまもってあげるからね。おとなになってもずっとだよ。そうだ、おおきくなったらぼくとけっこんしよう?』  そう言ったら、昂平は口をあんぐりと開けて俺を見つめた。やっぱり覚えてなかったか。 『うん、する。けっこん…する!』  そして俺はそれを受け入れた。でも、やっぱあんなガキの頃のことなんて覚えてなくて当然だよな。むしろ一言一句覚えてる俺の方がキモイっつーか、痛いっつーか……。 「覚えてた……のか?理音」 「え?」 「や、ちょっと待て。俺はお前が覚えてないと思って改めてこうしてプロポーズしたわけだが……え、覚えてた?じゃあこの片思いしてた12年って……?えええええ!?」 「ちょ、昂平、お前こそ忘れてたんじゃねぇの?」 「忘れるわけないだろ、自慢じゃないが俺は記憶力はかなりイイ方なんだ!うわちょっと待て、頭が混乱してるというか……マジか……うわー!!」  昂平は一人で勝手に焦って悶えているが、内心俺も驚きを隠せなかった。昂平が、あのガキの頃の口約束を覚えていたなんて。

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