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第129話
「俺も、自分でなんかおかしいなって朝から思ってるから。昨日、お前に抱かれて……なんていうか、お前のことが、すごく愛しくて……」
「え……」
「今更だよな。ずっと好きだったのに。なんか、想いが通じて、身体も繋げて、またお前からプロポーズの言葉聞けて……でも、お前も昔のプロポーズのこと覚えてたって言うから、俺達ってずっとお互い好きだったんだなって自覚して……そしたら想いが溢れて止まんなくて。俺、ほんとにお前のことが好きすぎて、いま、言葉じゃ言い表せないくらい、幸せなんだ」
俺も。
俺もおんなじだよ、理音。
そう伝える代わりに、道端だけど気にせず、俺は理音を抱きしめた。
「理音、大好きだぞ!!」
「俺も、昂平が大好き。ずっと一緒にいような」
「おう!ずっと、ずっと一緒だ……!!」
理音も抱きしめ返してくれた。
そして俺たちはそっと顔を見合わせて、キスを――……
「ちょっとあんた達。場所を考えなさい、場所をー!」
「ほんとにもう、恥ずかしい子達!ご近所さんに見られたらどうするの!」
……………
……………
……………え?
「「母さん(ちゃん)――っっ!!?」」
俺達の目の前には、ダブル母さんズが立っていた。
え、何?二人でどっかお茶でもしてきた帰りなの?
母親たちは俺達をスタスタと追い越すと、なんでもないように続けた。俺と理音は、驚きすぎてそれ以上の言葉が出ない。
「晩御飯までには帰りなさいよ、理音」
「今日も泊まってっていいわよ、りおちゃん」
「あらー、それは悪いわよ。それとも今日はウチに来る?昂平くん」
「それは花音ちゃんが嫌がるでしょ!いいのよウチにそんな気使わなくても」
「花音だって昂平くんのことは大好きよ?昔、理音と昂平くんと三人で結婚して一緒に暮らすのーとか馬鹿なこと言ってたんだからぁ」
「ええっ!?」
美奈子さんの言葉に反応したのは、理音だった。今の「ええっ」は、妹に嫉妬したのか、兄として俺に嫉妬したのかどっちなんだ。
理音の声に、母親二人はちらりと振り向く。
「まぁ、アンタたちが結婚するって言うのには今更驚かないけどね」
「でもイチャイチャするなら場所は考えなさいよ。まったく、若いんだからー」
「ほんとほーんと!」
きゃははは、とまるで女子高生のようなノリの二人。な、なんでそんなに軽い反応なんだ?
息子二人が禁断的に愛し合ってんだぞーっ!?
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