131 / 141

番外編・カノンのお兄ちゃん

≪バンッ!≫ ――あ。 ≪バタバタバタ≫ 「理音うるさーい!朝なんだからもうちょっと静かに動きなさい!!お父さんと花音(かのん)が起きるでしょ!!」 「無理無理!!かーちゃん無茶言うなっつの!」  お兄ちゃん、また慌てて起きてる。もうちょっと早く起きたらゆっくり出来るのに。  おかげで、わたしは毎朝お兄ちゃんの立てる騒がしい音で目が覚めちゃう。(お母さんの声もうるさいけど) でも、お兄ちゃんはいつもオシゴトと部活で忙しいから大変なんだよね。責めるのは可哀想かなぁ。  わたしが起きればいい時間までまだ1時間はあるけど、お兄ちゃんに付き合って、たまには早起きしてみようかな?  けど、その前に……  わたしはベッドから降りると、お兄ちゃんの部屋のドアをノックする。 ≪コンコン≫ 「……はい?」  誰もいないはずのお兄ちゃんの部屋から、お兄ちゃんよりも一際低い声がした。 ≪ガチャッ≫ 「おはよう、コーヘイくんっ」 「おー、おはよう、カノン。久しぶりだな」  お兄ちゃんのベッドで、当たり前のようにくつろいで雑誌を読んでいるのは、お兄ちゃんの幼なじみで、わたしのもう一人のお兄ちゃんみたいな人。 「毎朝お兄ちゃんの目ざまし係、御苦労さま!お兄ちゃんなかなか起きないから大変でしょ?」 「理音の可愛い寝顔が見れるからいいんだ。……内緒だぞ」 「あははっ、コーヘイくんは相変わらずお兄ちゃんのこと大好きだね~」 「カノンのことも好きだぞ」 「ありがとっ、二番目でもうれしい~カノンもコーヘイくんのこと好きだよ」  お兄ちゃんとコーヘイくんは、男同士だけどなんだかやけちゃうくらい仲良し。お兄ちゃんにカノジョができるのは嫌だけど、コーヘイくんと仲良くしてるところを見るのはとっても好き!ヘンかもしれないけど、すっごくお似合いなんだもん。 * 「お母さん、お兄ちゃんおはようー」 「あら?花音、もう起きたの?随分早いじゃない」  お母さんは、お兄ちゃんの朝ごはんとお弁当を用意したら二度寝する。そして、わたしとお父さんが起きる時間にまた一緒に起きる。 「たまにはわたしもお兄ちゃんに付き合って、早起きしてみたの」 「カノンーっ!!なんていい妹なんだ……頼むからずっとそのままでいてくれよっ」  朝ご飯をがつがつ食べながら、お兄ちゃんが言う。今のお兄ちゃんはホントにふつーの高校生。こんながつがつご飯食べてるところ見たら、ファンの人たちびっくりがっかりしそう。 「よし!!ごちそうさま!!」 「お兄ちゃん顔にお米付いてるよ」 「マジで!?どこっ」 「ここー」 ぷにゅ。  ほんとはお米なんて付いてなかった。ただ、お兄ちゃんのきれいな肌に触ってみたかっただけ。 「取れたよ」 「サンキューカノン!」  中身は全然前と変わらない、わたしの優しいお兄ちゃん。でも、オシゴトを始めてから外見はすっごく変わった。男の人に言うのはヘンだけど、お兄ちゃんは美人になった。お母さんは『あかぬけた』って言ってたけど、意味はよくわかんない。  わたし、猫田花音のお兄ちゃんは、ちまたではけっこう人気のファッションモデルです。

ともだちにシェアしよう!