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「ねーねー宇佐木くん!その子ってもしかしてRIONの妹ちゃん?」  隣に立ってた女子高生さんが話しかけてきた。ウサギさんのお友達かな? 「そっ、RIONに頼まれて俺がエスコートしてんの」 「めっちゃ可愛い~!さすがRIONの妹!あんまり似てないけどやっぱりお人形さん系統だね」 「あ、ありがとうございます…!」  また褒められちゃった!なんだか女の人に褒められるとより嬉しいなぁ。  でもやっぱりお兄ちゃんとは似てないって言われる。ちょっと悲しいかも。 「えーっRIONの妹!?」 「どの子!?」 「わっ、可愛い~!」  そしたら、いろんな人がつめよって来た!  お、お兄ちゃん効果すごい……でもちょっと恐い! 「お前らRIONの応援に来たんだろ?真面目に応援しろって!ほら、次RIONがサーブ打つぞ」  ウサギさんがそう言って、見せ物になりかけたわたしを助けてくれた。  そうだ、わたしも応援しなきゃ!! 「お兄ちゃん、がんばれーっ!!」  お兄ちゃんはわたしの声は聞こえてないみたいで、ものすごく集中してる。それはまるで、モデルのときの顔みたい。  雑誌に載ってるお兄ちゃんーーRIONは、綺麗でミステリアスで、触ったら壊れてしまいそうな儚げなお人形さんみたいだから。でも今のお兄ちゃんは、お人形なんかじゃない。 ≪ピッ≫  審判の人が笛を吹くと、お兄ちゃんはそっとボールをあげて、ジャンプサーブをした。ボールはまっすぐ、相手のコートめがけて落ちた!! 「ヨッシャ!!もう1回サーブだね、理音くん!」 「うんっ!!」  わたしとウサギさんは、興奮して手すりから少し身を乗り出してコートを見つめる。お兄ちゃんはもう1回、サーブを勢いよく打って、相手のコートに華麗に決めた!!  あっ、コーヘイくんが「よくやった理音!!」ってお兄ちゃんに抱きついてる!試合中だから変な感じのノリじゃないはずなのに、ちょっと妙な感じに見えてるのはわたしだけだよね!? 「ったく、あいつら試合中くらい自重しろっつーの」 「え?」 「あ、なんでもないよ」 「……」  ウサギさんも、お兄ちゃんたちが妙な感じだって思ってるのかな?だったら仲間だ。  お兄ちゃんは三度めのサーブはさすがに止められてた。けどお兄ちゃんのおかげで2点も先に入ったよ! 「お、次ワンコの殺人サーブが来るぞー」 「え?」 ≪ズドォォン!!≫ 「っ……!!」  コーヘイくんのサーブ、威力強すぎだよ…!!三試合目なのにどこにそんな体力残してたの!?さっきのお兄ちゃんのサーブが、一瞬にして曇っちゃったよ!  試合はどんどん進み、気づけば23対24のマッチポイント!!次、東谷高校が決めたらお兄ちゃんたちが勝つ……!! (お兄ちゃん、頑張って…!!)  お祈りするみたいなポーズで、わたしは神様に祈る。 (おねがい神様、お兄ちゃんを勝たせて!!)  お兄ちゃんたちが負けたらわたしが賭けに負ける、ということはもうどうでもよくなっていて、あれだけ練習を毎日頑張ってたお兄ちゃんをなんとか勝たせてあげたいって想いの方が強くなってた。

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