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第3話
彼と番になるのはもう時間の問題だった。
ちゃんと彼の家族にも了承をとり、自分の家族も黙らせた。
家族という協力関係は互いに大切なので、そこは上手く折り合いをつけることで合意した。
せっかく有力な繋がりを得られるのに、と家族達は不可解そうだったが、彼を得ることで得られる安らぎの方がゲームを勝つ原動力になることが分かっていないのは、考え方の違いだろう。
それでも兄姉達は番を大事にしているのは確かだし。
オメガは美しく、アルファを魅了する。
番を自分に会わせようともしないから、本気で大事にしているのだろう。
自分を産んだ母でさえ、父は子供達に近づけるのさえ嫌がったのだから、アルファというのはそういうモノだ。
話はついた。
後は日取りを決めて、それに合わせてカプセルをとりだし、発情を待つ。
しばらく学校を休んでもらうことになるが仕方ない。
ホルモンをコントロールして発情を促しながら、避妊のための処置もする。
オメガの身体を整えないといけない。
孕ませたい気持ちはあるが、彼はまだ子供だ。
アルファとは違う。
アルファは生まれた時から独立している。
だからもう少し甘やかしてやりたかった。
それに、孕ませたい本能はあるが独占はしたいのが本音だ。
子供に彼を奪われたくなかった。
父親の気持ちはわかった。
だが、予定通り事は進んでいて、満足だった。
もうすぐだ。
もうすぐ、彼を番にできる。
自分だけのモノにして、大切にする。
彼はその話になると真っ赤になってしまう。
嫌がってないのはわかってた。
匂いが濃くなるから。
自分にしか分からない匂いの甘さ。
触れたら抱いてしまいそうなので、傍にいても、触れないこの距離で、唇にそっと触れるだけのキスが精一杯。
「俺の番になってくれる?」
そう本当に言葉にしたのは先週で。
彼は真っ赤になって、小さく何度も頷いて泣いたのだ。
危うく抱いてしまいそうになるからい可愛かった。
それを思い返すだけで、顔がほころんでしまう。
来月医師に連れていき、スケジュールを決めることにしていた。
そんな時にそれはおこった
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