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#スイーツ男子のお相手は色彩鮮やかで繊細なマカロンのような彼④

 『あー、えっと覚えてますけどそれが何ですか、、?』  とにかく知らないふりを続けた。投稿は覚えてるけど写真の二人も炎上も配信のチャンネルも目の前の彼も僕は何も知らないと言うことにした。  「投稿したあとたくさんコメント来たと思うけど読んでない?」  『僕は、、投稿するのが好きなだけで反応とかコメントとか気にしてないので見てないです……』  「ちなみにだけど俺の事は知らない?」  『……知りません』  彼は再びベッドに腰掛けた。スマホを触って写真を物思いに(ふけ)るように見ている。  「そっか。実はね、君が投稿したこの写真の後ろに映ってる二人組。写ってるの実は恋人だったんだ。浮気されてるって写真見て初めて知ってショックで……別れてしまったんだ」    彼は顔を隠すように俯いてか細い泣きそうな声で言った。さっきとは別人の様で愛猫も心配そうに足元で彼を見て鳴いている。  『あのー…何かよくわからないけど、傷つけてしまったなら謝ります。けど、わざとじゃないですからっ!あなたの彼氏とか知らなかったし、本当にスイーツだけ撮ろうとして映ったのはたまたまで……』  「やっぱり。本当は僕の事知ってるでしょ?」  泣きそうな声から一転。元に戻ったと思ったらまたニッコリと王子様スマイルを見せた。  「今、彼氏って言ったよね?俺は"恋人が写ってる"としか言ってないよ。確かに相手は男の方だけどどうしてわかったの?普通は女の子の方と付き合ってるって思うはずだけど彼女じゃなくて何で彼氏だと?」  『、、しっ、知りません。あなたがさっき恋人試験とか言ってたからっ、、そうじゃないかなって思っただけです!』  「それじゃ説得力ないなぁ。別に知ってるならそれでいいじゃん、何で嘘つくの?いけない子だな」  『やっ、ホントに知らないですっ!そもそも勝手に家に上がり込んで何がしたいんですか?』  嘘を見ぬかれて隠そうとすればする程が口調が強くなっていく。それでも彼は表情変えずにマイペースに余裕な態度。  「恋人候補の君に会いにきたの」  『……だからそれはどうゆう事ですか、、?』  「俺の恋人になって一緒に配信して欲しいんだ」  彼の綺麗な穏やかな顔からそんな言葉が飛び出した。これが俗に言う"告白"ってやつ?恥ずかしながら一度も恋人がいた事がない僕にはかなりの衝撃で、しかもその初めてがまさか男性だなんて。  『………恋人!?』  「あっ、説明不足だったかな。あくまで恋人役!偽の彼氏を演じてくれればいい、簡単でしょ」  『いやっ待って下さい!そんなの無理ッ、、わっ!!』  突然手を引かれて彼の座るベッドの横にバフッと座らせられた。また近距離に彼の顔がきて手は繋いだまま。濡れた服のままの僕は雨なのか冷や汗かわからない手を握られて彼の眼差しを凝視する。    『お願い。君しかいない、、少しでも申し訳ないって思いがあるなら助けてよ』

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