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#スイーツ男子の本音はショートケーキの様に誰からも愛されたい

 使ってなかったローテーブルを一階から運んできてベッドの前に準備した。明希が持参した大量の参考書が並ぶ。カーペットの上にあぐらを書いて座る明希は正面ではなく隣が定位置。 一緒に勉強はつまり僕の勉強タイムで、明希先生は英文をシャーペンでなぞる。  「ほなここ訳するとどうなるんや?」  『えっと、ウィルビー……エイブルトゥ……ゲットホーム……』  「OK!ほんでここに入る単語はどれや?」  『うーん、、2番かな?』  「ちゃう!4番や。longとclearが入るんや。何でかわかるか?」    勉強開始から三時間が経ってトイレに行った以外二人は背中を丸めながらずっと参考書と睨めっこだ。ペースを崩さずなかなかやめる気配がない明希はキリのいい所でやっと参考書を閉じた。  「よっしゃ。とりあえず英語はこんなもんか」  『ふぅ、、ねぇ!映画タイムにしない?』 シャーペンを置いて後ろにあるベッドの淵にもたれて言った。  「はっ?まだ英語しかしてへんで」 一問一問に時間がかかってまだ一教科しか進んでいない。山積みになった参考書を見て眉間に皺を寄せる。  『だってぇもう頭ん中入る隙間ないんだもん。スパルタ明希先生、お願い!!』  「誰かスパルタやねん。はぁしゃーないな、ほな観るか」  『やった!なんかお菓子持ってくる!』    参考書を全てテーブルから下ろしルンルンしながら一階に食べ物を取りに出て行った。部屋に一人になった明希は背伸びをして部屋を見回した。 スイーツの本、カフェが紹介されている雑誌、ベッドにはチョコレート柄やケーキ柄のクッション。  「いやどんだけスイーツ好きやねんっ」  女子の部屋と間違えそうなアイテムばかりの部屋に関西人の血が騒いでつい心の声が出てしまった。すると座ったちょうど正面の目の高さにピンクの紙袋が見えた。    「あれ何やろ?」 よっこいしょと立ち上がって紙袋を手に取った。覗くと中身のない空のお菓子の箱と小さなメモ用紙。さりげなくも気になる場所に置いてあり"前回来た時はなかったよな"なんて思いながらメモを開いた。  「お近ずきの、、しるしに。樫井おおが?、、だいが?」  ゆっくりと小さな声で読んだ。短い文章に視線を何度も往復させる明希。名前を見てもピンとは来なかったが知らない誰かとのやり取りを見て気にならずにはいられなかった。 それと同時に胸の奥にもぞもぞと感じる何かを感じた。  トントントンッと階段の上がる音が聞こえて明希は急いで紙袋に元の位置に置く。明希も定位置に何もなかったように座った。  『さすがにポップコーンはなかったんだけどさクッキーあったから持ってきた!あとコーラも!』  勉強中とは真逆のテンションでコーラの2リットルボトルとクッキーの箱を手いっぱいに抱えて戻ってきた。テーブルに置いて笑顔で明希を見ると目が合って止まったまま動かない。  『、、ん?何?顔じっと見て。クッキー嫌いだった?』  「あっ、いやっ、、そうやなくてっ!、、ってかこのDVD借りんのめちゃ恥ずかしかってんで!これ女子しか見ぃひんし絶対おもしろないやろ!」  さっきのメモの動揺を残した明希は饒舌(じょうぜつ)に何でもいいからその場をごまかそうとした。借りて来た若い女子達が好きそうな恋愛映画のDVDを指さしながら言う。  『そんなことないよ。明希もこうゆうのたまには見た方がいいよっ!恋っていいな〜って思えるからさっ!』  「別に心配されんでも恋くらい普通にしとるから」  『えっ!そうなの?何!?明希ってもしかして好きな人とかいるの!?』  予備校での知り合いは大抵は成績や目指す大学の話ばかり。これまでそれ以外の話をほとんどしてこなかった二人は意外に過去の恋愛遍歴など知らない。もしかして彼女いたりするのかな?と知り合って3ヶ月で初めてここで疑問持ったくらいだ。  「、、そ、それはやな……」

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